人が怖い。不満と不安しかない。
いつからそんな風に思うようになってしまったんだろうか。
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私は幼い頃は大勢の友だちと遊ぶことが好きだった。10人以上の友だちを家に呼んだこともあった。でも、歳を重ねていくと、人のいいところばかりは見れなくなってしまった。
度重なる学級崩壊での事件。陰口を叩かれたり、体育館シューズを投げられたり、自分が意地悪をしたわけでもないのに、なぜか降りかかる不幸。大切だと思っていた友だちに、「あなた誰?」と言われた時は、もう何を信じていいかわからなくなったこともあった。
そんな出来事が続き、いつの間にか人と関わることが怖くなっていた。そして大人になった今でも人と付き合うときに不安がよぎる。
いつか、信じていたものが崩れ去ってしまうんではないか。大切に思っていても、裏切られるのではないか。本当に私のことを大切に思ってくれているのだろうか。自分だけ大切だと思っているのではないだろうか。自分が惨めだ。
きっとみんながみんな、悪いわけでも裏切るわけでもない。そんなことはわかっている。でも、ついつい頭の中に影ができる。
そんな風に、ネガティブな感情が生まれてしまう自分が嫌だった。
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ネガティブな感情は、人付き合いだけではなかった。
自分が子どもを産んだ時の想像だ。
私が将来、子どもを産むことになったとき、子どもが健康に生まれてくることは極めて難しい。
先天性の心疾患だった私は、ネットで病気の子どもへの影響を調べた。すると、健康な人と比べた時に、子どもへの影響が3倍だった。さらに、アレルギー体質の私はアトピーやアレルギー性鼻炎等の遺伝も調べた。アトピーはアレルギーの中でも遺伝傾向が高く7割近くが遺伝すると知った。鼻炎も遺伝しやすいことを知った。
悲しかった。辛かった。苦しかった。まだ子どもを産む予定があるわけでもないのに、先のことを考えて疲弊してしまう。
私が子どもを産んだら、子どもがかわいそう。
私と同じ病気になったら入退院を繰り返して、辛い治療に耐えなければならない。アトピーは治らないから、今でもかゆみと痛みに耐えることもある。そんなことを自分の子どもにさせることになったら、それは私が原因だと自分を責めるだろう。
まだわからない未来に対して、私は不安を募らせる。
結婚することが決まった今年、正直これから先、彼とうまくやっていく自信がない。
結婚式の準備を手伝う気がまるでない彼に不満を感じる。
子どもはほしいけど、イヤイヤ期とか耐えられないから、わかちゃんが何とかしてねと、結婚する前から見えない育児を投げてくる彼に不安を感じる。
未来への光が見えない。不安と不満が入り乱れる。
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どうしたらいいのだろうか。
漠然と悩んでいると、彼から連絡が来た。新婚旅行に下呂温泉を予約したと。
私が結婚式の準備であくせくしている間に、彼は結婚式後の旅行先の予約をしていた。
ホテルのチェックインやチェックアウト、温泉のことはすでに調べてあり、彼は嬉しそうに旅行の話をしている。
私の不安や不満をよそに、彼は1人楽しそうだった。羨ましかった。
でも、楽しそうな彼を見て気づいた。考えてみれば、未来は遠い先のことだけではない。
今この瞬間の1時間先、1分先、1秒先だって未来だ。
見えない未来に怯えて不安になったって、実際どうなるかなんてわからない。悪い方向へ行く場合があるかもしれないが、良い方に行く場合だってないわけではない。だって、未来を予知できるわけではないんだから。
だから、少し先の未来の、少し先の楽しいこと、嬉しいことを見出し、それを気持ちよく楽しめばいい。
それでいいじゃん!
忙しい今も、この仕事が終わったらチョコレートアイス食べようと、小さな幸せな未来を楽しみに今日も生きる。