仕事のつながりで、香港人の友人ができた。中国人だけど、それより香港人というのがしっくりくるそうだ。多忙でまだ会えていないけど、周りからも「もう2人は友達でしょ」と言われる。私はもっと彼女のことを知りたい。
彼女は雨傘運動にも参加していたらしい。それもかなり力を入れていたようだ。
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雨傘運動について調べた。同年代の若者が中心となりながらも、親世代の人たちも参加していたこと、皆がそれぞれ真剣に政治について考え、意見を持っているからこそ衝突することもあること、その中で折り合いをつけ、協力していること、露出した肌に痛みが走るほどの威力がある催涙ガスや催涙弾にも、慣れた参加者たちは怯まないことなど、様々なことを知った。
私は最初、デモには否定的だった。日本でも行われているが、「それで何が変わるんだろう」「目立ちたいだけじゃないか」と、冷めた目で見ていた。
しかし雨傘運動について知り、それぞれが本気で香港の行く末を考え、現状を変えようと動いていることを知った。香港は国ではなく地域ではあるが、いざ、国を変えようと思ったら、私たちにできることは、やはりデモや情報の発信くらいのものだろう。
それだけじゃ何も変わらない。そう思っていたが、それで香港の人たちは、政府の意見を変えさせた。全面勝利とは言えないものの、確かに彼らは政治を変えた実績がある。
香港の人々はデモを通し、韓国や台湾の人たちとも交流を持っているそうだ。私たちにできることもあるはずだ。まずは香港で起こっていることを知ることが、運動に携わってきた彼女を助け、励ますことになる。
そのことを伝えることで、多くの人に知ってもらえたらいいと思って、私はエッセイを書いた。
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政治的な不満はあるものの、物価が高いとか、給料が安いとかその程度で、危機的状況ではない日本で暮らす私は、デモなどどこか遠くのものと考えていた。しかし日本の政治にも、変えるべきところがまだあるはずだ。そのためには政治を知り、政治に興味を持っているということを、政府に知らせなきゃならない。そのための方法として、デモは効果的だ。
SEALDs代表の奥田愛基氏と、高校生時代に起業した椎木里佳氏の対談を読んだが、二人とも普通の若者で、ただ政治や起業に興味を持ち、調べ、行動に起こしたから何か違うように見えるだけだった。
思えば私がデモに否定的だったのは、自分には関係ないからと目をそらしていることを、「ちゃんと見なければダメだ!」と言われているような気がしたからかもしれない。
流されて生きるのは楽だ。政治なんて小難しいことも、考えずにいられるなら考えたくないという人も多いだろう。そもそも、政治についてずっと市民が考えなければならない国は、平和とは言えない。だからと言って、何も考えない、意識しないというのは危険だし、それで上手く回るほどのシステムは、少なくとも日本にはまだない。
さて、私はちゃんと、もがいているのだろうか。奥田氏や椎木氏や香港の友人のように、ちゃんともがいて、自分の頭で考えて、抗って生きているのだろうか。胸を張って答えられるよう、今を生きたい。