私はこの春から大学2年生になる。去年の4月に大学に入学してからの1年間は、私にとって、戸惑いと忙しさの怒涛の1年間だった。そんな私が、どうにか1年間を乗り越えられたのは様々な場所で出会った先輩が助けてくれたからだと思う。

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大学入学と同時に、私の周りの環境は大きく変わった。高校までとは全然異なる大学のシステム。自分で授業を選択し、履修登録をしなくてはならない。課題の量も、課題の種類も高校までとは全然異なる。初めてのことでいっぱいだった。

また、私は大学の寮に入った。これまで、家の手伝いをずっとしてこなかった私には自炊、洗濯、掃除、どれも、どうやってやればいいのかあまりよく分かっていなかった。大学に行きながら、自分のことはすべて自分でやらなければいけないというのが、慣れるまでは本当に大変だった。

さらに、私は大学の吹奏楽部に入部した。中学高校とずっと続けてきたものを辞めてしまうのはもったいないなという思いと、高校時代、コロナ禍のせいで、活動が思うように出来なかった故の不完全燃焼から、そこまで深く考えずに入部した。様々な貴重な経験を積むことができたが、高校までの緩かった活動とは全然異なり、活動時間も長く、ハイレベルな先輩方や同期について行くのは、とても大変だった。

大学でいい成績を取りたい。部活もやりたい。アルバイトもしたい。と、自分のキャパなど考えず、やりたい事はなんでもやろうとする自分の性格のせいなのだが、忙しさと分からないことだらけで、大学1年の間は爆発しかけていた。

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そんな私を助けてくれたのは様々な場所で出会った先輩方である。

同じ寮に住んでいた先輩方は、履修の相談に乗ってくれたり、自分達も様々な活動で忙しい中、私達後輩が息抜きをしたり、楽しめるような様々なイベントを開いてくれた。特に同じ部屋だった先輩は、私が疲れているようだったら、「大丈夫?」と声をかけてくれ、悩んだり落ち込んでいると、「あなたならできるよ」と励ましてくれた。困ってることや分からないことがあればいつも相談に乗ってくれた。

また、学部の先輩は、英語の勉強法から、学部の授業から出される大量の課題との向き合い方、留学する際のアドバイスなど、様々なことを教えて下さった。漠然と大学生活の中でなにかに挑戦したいなと思いながらも何から手をつけていいか分からなかった私の気持ちを整理することが出来た。

初めは、忙しそうな先輩方に助けを求めることを躊躇してしまったりしていたが、先輩との繋がりを持ち、困ったことがあれば、助けを求めることの重要性に気づくことができた。
このように私の大学1年目は、沢山の先輩方のおかげでどうにかこうにか終えることができた。本当に感謝しかない。

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そして、私はこの4月から大学2年生になる。つまり私にもまた後輩ができて、先輩になるということだ。

私は、これまでの中学、高校生活を振り返ると、部活などで、先輩としての役割を上手く全う出来た気がしていない。自分の技術に自信がなく、また、人見知りな性格から、どう自分から話しかけていけばいいのか分からなかったというのが原因だったような気がしている。
それに加えて、先輩とはこうあるべき。という自分の中での思い込みがあり、その固定観念に縛られて、そうなれていない自分に落ち込み、余計に自信をなくしていたのもあったのだと思う。

今までの経験から、また上手くいかないのではないかと、先輩になるということに不安もある。けれども、「先輩とはこうあるべき」という固定観念に縛られる必要はないのではないか、自分のできる範囲で、後輩に手を差し伸べられればいいのではないか、と最近思うようになった。先輩から、ちょっとした一言声をかけられただけでも、後輩だった私は嬉しかったし、助けられることもあった。振り返ってみると、先輩だからといってなにか特別なことをしなきゃいけない訳ではないのかもしれない。

これからの3年間、はじめはぎこちないかもしれないが、少しずつ、自分が先輩方に助けてもらったことを、次は自分が後輩たちに還元できるようにしていきたいと思う。