一年前のあの日、婚約者が浮気をしていることを知った。それから一年間は絶望しきって、毎日死にたかった。

あの日、帰りの遅い彼を問い詰めた。やましいことが何もないならラインを見せてと言った。その瞬間、恋は終わり絶望の日々がやってきた。結婚まであと2カ月もなかった。
毎日毎日喧嘩をして、私たちは衰弱していった。私は悲しみと怒りの収め方を知らなかった。彼は、私の悲しみや怒りを受け止めきれなかった。

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あの日まで、彼のことは大好きだった。深く信頼していた。学生時代から長く付き合っていた。記念日にはダイヤモンドの指輪を貰っていた。彼と結婚がしたかった。彼の子どもが欲しかった。一緒のお墓に入りたかった。一緒に暮らしていて楽しかった。
それでも私は彼のことを疑った。その結果は、疑った通りだった。婚約は破棄になり、一緒に暮らしていた部屋は、私の絶望を受け止めてボロボロになった。夜は眠れず、仕事も辞めた。
あれから一年、今までとは全く違う仕事をして、彼の住んでいる地とはかなり離れた住んだことのない街に住んでいる。

それから別の人を愛したけれど、うまくいかなくて涙を流した。彼のことは忘れてはいない。でも、私はあの日の絶望から立ち直ったのだと思う。
あの日、彼のことを疑わなければ、私の人生は違っていただろうと思う。今頃結婚をしていて、幸せだったかもしれない。疑うんじゃなかったと何度も何度も考えた。
でも、疑ったのが私の運命だ。弱さでもあったのだろう。

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あの日、気が付いてよかったと何人にも言われた。結婚して、子供ができてから気が付く方が地獄だ。一生気が付かなければ幸せだったのだろうか。答えはわからない。気が付けてよかったと思うかは、今の私の行動にかかっている。今後、ものすごく好きな人と、もっと幸せな結婚ができるかもしれない。新しく始めた仕事で成功するかもしれない。

今では彼のことを思い出すことも減り、恨む気持ちが湧き出ることもほとんどなくなった。また、新たに人を信じたいと思えるようになった。もう一度人を愛することができた。どんなに辛い出来事からも立ち直ることができることを知った。失恋くらいじゃ死なないことを知った。支えてくれた友人の大切さを知った。

あの日のことは、ものすごくつらかった。だけれど、たくさんのことに気が付けたし、悪いことだけではなかったと思いたい。あの日の絶望があったからこそ、した体験もいくつもある。これから、あの日気が付けてよかったと思えるようにしていきたい。

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また、人と深く愛し合いたい。繋がりたい。今度は疑わずに信じ切りたい。生涯をともに過ごす人を見つけたい。愛し愛される関係を築きたい。好きな仕事をして、食べていきたい。
あの日から3ヵ月は引きこもったし、半年は笑えなかった。でも、今では幸せを感じることも、笑うことも、働くこともできる。

あの日、悲しみから死ななくてよかった。あの日が人生の転機だったと思えるように生きていきたい。