とあるアイドルグループのデビュー曲を聴いていると、彼の歌声に一目惚れした。包み込むような柔らかい歌声は、何度もずっと聴いていたいし私は完全にこころを奪われていた。グループの中心的存在である彼は、歌だけでなくダンスも得意だった。幼いころからダンスを習っていたこともあるからか、その才能は他のメンバーより随分と飛びぬけていて、まさに彼は選ばれしアーティストだ。そんな彼が所属するグループが新曲をリリースし、歌番組に出演すると私は必ずリアルタイムで視聴したくなって、テレビの前で心弾ませながら彼の登場を待ちわびている時間は、至福の時だった。

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CDを聴くときは目を閉じて、彼の顔を思い浮かべるがテレビで披露しているときは彼の歌声が、私の全身を包み込んでいるみたいで、どこか照れた自分がいた。彼の歌声を聴くだけで、今までなかったパワーが私の心と身体に満ち溢れていくような感覚は健やかな日々を過ごせることを保証してもらったかのようだった。

こうしてアーティストとして歌って踊る彼の素顔は天然キャラで、そのギャップが可愛い。クールな一面と、ほっこり場を和ませる素顔は誰もが彼のとりこになるはずだ。もし彼に会えたとしたら、どんな未来が待ち受けているだろうか。想像するだけで、シンデレラになった気分だ。彼の存在は、気づけば夢の世界へ飛び立ちたくなる、不思議な出会いと同じなのかもしれない。まさに恋することは、自分じゃない自分と出会う感覚に似ている。
彼の歌声を聴くだけで、どんな困難も乗り越えられる気がするように一目惚れは、奇跡の繰り返しが運命を導くものなのだろう。

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しかし彼もアイドルである前に、ごく普通の若い男の子であることに変わりはない。いつまでも王子様でいることは難しいし、いつか結婚するんだろうなあとぼんやり考えていると、何だか複雑な気持ちになり切なく思う自分がいた。彼も私たちと同じように、誰もが夢見る一人の男性としての幸せを掴みたいはずだが、アイドルでいる以上、なかなかプライベートを思うように充実させることは難しそうだ。ファンは喜ぶどころか、ショックのあまり彼から離れてしまうのは目に見えた厳しい現実だけれど、今まで自分の幸せを犠牲にしながら全てをアイドル人生に捧げてきた彼に、誰よりも幸せになってほしいと私は思う。

いつの日か雑誌で結婚についてインタビューされた彼は「20代で結婚して家庭を築きたい」と述べてあった。これが彼の本音であって、アイドル人生とは別に一人の男として永遠の幸せを掴みたい夢があるのだ。そのことを、私は応援したいと思った。彼がアイドルの道を選ばなければ、こんなに幸せな瞬間を味わえなかったかもしれないから、彼にも思う存分幸せを掴んでほしい。それが私から彼への第一のお願いである。このように彼の幸せを望んでいるのは私だけではないだろうし、ファンの誰もがきっと彼の幸せを夢見ているはずだ。

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そして彼は今、グループを脱退し事務所を退所することを決め新たな道へと歩もうとしている。脱退と退所を半年前に発表してからも、今のアーティスト活動のなかで彼は決して腐ることなくファンの笑顔を大事にしてきた。それが彼の素晴らしいところであり、簡単に真似できることではない。彼のアイドルとしてのプロ意識に、私はまた一目惚れしそうだ。これまで結婚願望を打ち明けたときはあったものの、お付き合いしているという報道は一切なくノースキャンダルだったことも彼がアイドルとして貫いてきたものの一つだといえる。
最後まで何もかもがスーパーアイドルだった彼が、どんな未来を切り開いていくのか楽しみで仕方ない。これからも、何度でも彼に一目惚れしてみたいものだ。