ダイエットが続かない。
食欲が強いのか、意志が弱いのか、どちらが原因なのか分からない。

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お昼ご飯を食べてから夕食までの間はおやつを我慢しようと思うけれど、16時か、耐えても17時には何かを口にしてしまう。せめてランニングでもしなきゃと思うのだが、せっかく家でだらけられる日に着替えて家を出るのはめんどくさい。
これじゃダメだと思い、堪え性のない人間なのだろうかと真剣に悩む。真剣に悩んでいるとはいえ、体はあっという間にソファに沈んでいく。

ソファに横になっていると、そういえば高校生の時もあまり事の続かない人間だったなと思い出した。というよりは、続いても惰性でやっているというような感じだった。

テスト前になり、今回こそは二週間前から勉強するぞと気合を入れて机に向かうものの、座って教科書に線を引いているだけで終わっていた、なんてことがあった。おかげで教科書にびっしりのマーカーが勉強したという気にさせていた。結局、二週間何となく椅子に座っているだけで、点数という結果は出なかった。

そして、やったのにな、自分は勉強ダメなんだなと、「勉強は向いていない」と諦めていた。

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思い返すと習い事だってそうだった。小学生の時に習っていたピアノは、先生に見せる前日と習い事の日にしか弾かなかった。そりゃ上手くはならないはずだけれど、その頃の私は、ピアノは向いていないんだと決めつけていた。

私はダイエットのことで悩んでいたはずが、いつの間にか怠惰な自分の性格を暴いてしまっていた。

頭をダイエットに戻そうと、高校生の時にダイエットを成功させた友人のことを思い出した。そういえば彼女は「自分は我慢とか無理だから何でも減らしていく引き算のダイエットはしない」と言っていた。代わりに運動と食生活の改善を心掛けていたらしい。

私は、ダイエットにとどまらず、頑張れない怠惰な自分が怖くなったことをきっかけに、その友人に相談することにした。

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友人は私の「食欲が強いのか、意志が弱いのか、分からない」というダイエットの話から始まり、気付いてしまった私の性分という飛んだ話に笑いつつも真面目に聞いてくれた。そして、単に「合ってないだけでしょ」と言った。

「勉強が合わない」も「ダイエットが合わない」も「向いていない」と変わらないショックに言葉を失いかけた。が、理解していないことに気づいた友人は「“その”ダイエット法があってないんじゃないの」と親切に教えてくれた。そして「勉強も同じでしょ」と加えた。

その後友人は、ダイエットは人によって合うものと合わないものがあるらしいことを丁寧に教えてくれた。とはいえ、食べないダイエットが結局一番痩せると思っていた私は、納得せずに抗おうと、「でも、ダイエットは我慢が大事なんじゃないの?」と言った。

友人は顔の前でチッチッチと指を振り「続かなきゃ意味ないでしょ」と言った。

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私は饒舌に話す友人が、テレビ通販で巧みに商品の良さを宣伝し、疑う気持ちを納得させていくのと同じ説得力を感じた。

ちゃんと勉強して理解している人の言葉には、それ以上の反論する理由もなく、私にもちゃんと理解できた。

食欲が強いのも、意志が弱いのも、別に良い。続けられることが大事で、それが自分に合うか合わないかが大切だということ。絶対に我慢はしなきゃってわけでもないのだ。

自分ができることを続けるのが成功の道なんだとわかってしまうと、ダイエットにとどまらず、自分はだめかもしれないと沈んでいた気持ちから解放されたようだった。

私は友人に気持ちが軽くなったと感謝した。
友人は「気持ちだけじゃダメだよ」と笑ってくれた。