私は今、小学生の頃から漠然と抱いていた夢である「留学」の最中で、去年の夏にベルギーにやってきた。

ベルギーは多言語国家、街中や電車のアナウンスでも多言語が飛び交っている。このことは私がベルギーに興味を持って、日本からやってきた理由の一つでもある。ベルギー人は何言語も話せることが当たり前だ。英語は公用語ではないが、彼らは英語も使え、話す相手によって瞬時に言語を変えている。ベルギー人の言語能力は本当にただただ「すごい」の一言に尽きる。例えば、あるベルギー人と初めて話した時、

「君には英語とフランス語、どっちで話せばいいの?」

と聞かれた。私はこの質問を当たり前のようにするベルギー人にとても衝撃を受けた。私の留学している地域では、日常生活ではフランス語が使用されるのだが、それでも彼らは英語を母国語のように話すのだ。これがベルギーか、と思ったことをよく覚えている。

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夢だった留学が叶って、実際に外国で暮らし、現地の学生と同じ授業を受け、結局私は何がしたいんだとよく考えるようになった。留学は辛いこと、大変なこともあるというのは聞いていたが、聞くのと経験するのではやはり違う。生活でのストレス、友達の輪にいても感じる孤独感、自分の気持ちを他言語で思うように伝えられないもどかしさ、価値観の違い。留学はキラキラしていない。

最近、留学とは、勉強して専門的な知識を身につけるというよりも、その国の文化に揉まれながら、その国・人を知るということなのではと考えている。しかし、勉強を一切せず、文化を知るという名目で遊び回るわけにもいかない。いや、実際は可能なのだが、日本人の性なのか、勉強は一生懸命取り組むのが当たり前!無遅刻・無欠席大事!勉強が分からなかったら、分かるまで取り組む!というような気持ちが常にあり、いくら勉強がきつく、授業を受けるのをやめたくなっても遊びに振り切ることもできないし、勉強のことはそこまで気にせずに気楽に生活するということもできない。

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最近はついにベルギー人の友人に言われた一言で、ストレスが爆発した。要約すると、友人は、私は授業をあまりとってないし、そんなに忙しくないでしょ?という内容のことを私に言った。私は友人に、私は留学生だが、ベルギー人と同じ授業・同じ課題をしているのだ、だからあなたたちの10倍は授業に対してストレス、プレッシャーを感じるし、授業を理解するのも課題をするのもとても時間がかかるのだと訴えた。すると友人は、

「分かるよ。でも君は留学生だ。単位を絶対に取らないといけないわけでもないし、留学というのは文化を発見・文化に触れることの方が勉強よりももっと大事なんだ。だからそんなにストレスやプレッシャーを感じる必要はない」

私もそのことはよく理解しているが、私は日本人であり、勉強は頑張らないといけないと思うし、ストレスもプレッシャーも感じないことは不可能だと伝えた。友人は私に呆れた様子でこう言った。

「でもここは日本じゃない、ベルギーだ。日本の感覚ではダメなんだよ。ベルギーは高校の勉強はめちゃくちゃ簡単で、その代わり大学の勉強がめちゃくちゃ難しい。だからベルギー人にとっても授業は難しい。君が難しいと感じるのは当たり前なんだ。だから気にするな。大した問題じゃないんだ」

私は留学に来て初めて自分のストレス・不安についてベルギー人の友人にこんなに強く話した。そのため、友人も、周りにいておそらく聞き耳を立てていた他のベルギー人の友人たちも驚いたことだろう。

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私の夢であった留学、そこではこんな風に考え方の違いや文化の違いで衝撃を受けたり、驚いたりすることばかりだ。