20歳の時初めて失恋をした。
相手はネットで知り合った人だった。
男性恐怖症だった私にとって唯一話せる男性で、2年間どっぷり依存していたため、急に絶縁を言い渡された時この世がひっくり返るくらいのどん底に叩き落とされた。

この先自分の人生から彼という存在がいなくなるという現実に今まで経験したことの無い喪失感が襲ってきて、食事もとれなくなり真夏なのに入浴もできなくなり体からはすえた匂いが漂ってきた。
流石に1人ではいられないと思った私は、失恋の傷を癒そうと地元へと帰省することに決めた。
だけどこれ以上のどん底があるなんてこの時の私はまだ知らなかった。

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地元に帰ると学生時代の友人や先輩と会った。
地元の友達は合コンを開いてくれて、明け方まで男の子たちとカラオケで遊んだ。
先輩は県外までドライブに連れていってくれて隣県に新しくできた駅中のショッピングモールで買い物をしたりカフェで食事をしたりした。
そして帰りの車の中で「頑張ろう」。少しずつそう思い始めていた頃ある友達から紹介したい人がいると言われた。

その人は国道沿いから少し離れた一軒家に小さなサロンを経営している主婦だった。
友人がいつもお世話になっているというその人はオイルマッサージのお店を開いていて1人で背術をしているようだった。

失恋の話を聞いてもらうといいと言われ、オイルマッサージを受けつつ失恋をしたという話をした。
オイルマッサージは本格的でたった1時間で大量の汗をかいて体重も1キロも減っていたし、途中で水分補給をしなければいけないほどだった。

そして相談はというと、すっかり話を聞いてもらって身も心も軽くなったようだった。
その人は結婚していて、子供はいなかったのでいつでもおいでと言われてそのまま友人と夜ご飯までいただいた。

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私はその人の家に通うようになり、いつしか連泊までするようになった。
そしてその人からも可愛がられるようになってオイルマッサージのやり方も教えてもらうようになった。

だけど一緒にお風呂に入っている時違和感があった。
胸や局部も洗ってくるのだ。
そしてある時、深夜にオイルマッサージのやり方を教えてあげると言われ、眠い目をこすりながら台に行った。
その人は私に胸を揉ませた。
気がつくとその人は私に胸を揉ませながら自分の局部を弄っていた。

ちなみに私はその時20歳で男性経験が無かったし、実写のAVも見たことが無かった。
“それ“が終わると何事もなかったかのように2人とも布団に入り、寝た。
朝どうしても不信感が拭いきれず私は思わず家に帰りますと言った。
するとなんとなく察したのか今までとはうって変わって冷たく吐き捨てるようになんで?と言われた。

その言葉を聞いた途端私は立てなくなってしまった。
次の日には私は手足が拘束されて、オムツを履いていて精神病棟に医療措置入院になった。
私は20代のほとんどを自傷行為と自殺未遂に費やした。
たったこれだけの事と思われるかも知れないが、同意の無い性的な行為は紛れもなくレイプである。

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相手が男性で、最後までされていたんだとしたら私は恐らくもうこの世にはいなかったんだろうと思う。
私にだって人並みに人としての尊厳があったはずだった。
だけどそれを踏み躙られた。
そして、自分が被害者だと認識するにはかなりの勇気がいる。
もちろん警察にも相談したが立件するには難しいとのことだった。
仕事も失って精神疾患から9割の人間関係にも終止符が打たれ、文字通り全てを失って地獄のようだった。

だけど時間というのは1番の特効薬みたいで徐々に私は人しての生活を取り戻していった。
時間はかかったけれど、本当に底から這い上がった。
0からやり直そうと決めて今となっては失う前以上のものを手に入れることができた。
経験して良かったとは流石に思えないけれど、経験したからこその今があるということは紛れもなく事実である。