私は料理が苦手だ。友達が自分のことをそう言っていたように私も「料理コンプなんだけど」だ。

なぜ苦手なのか考えてみると、まず面倒くさがりであること、細かいレシピを解読するのが苦手なことだ。それで、そのどちらかが大きいか考えた所、やはり面倒くさがりであることが強かった。意外とシンプルだ。自分でもそのことは驚いた。私の中で料理に対する感情はハウルの動く城並にぐちゃぐちゃだと思いこんでいた。つまり面倒くさいがクリアできれば私は料理が今より得意になるかもしれない。

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私は大学在学中一人暮らしをしていた。料理は嫌いでも食べなければ死ぬ。そして私はお惣菜を毎日食べると飽きるタイプだった。なので、私は下手くそだが一応料理はした。大体作っていたのは一人鍋だった。

一人暮らしでの一番の思い出の料理はタコライスだ。学食で期間限定でタコライスを初めて食べて、心をつかまれた。とてもおいしい。また食べたい。しかし、期間限定なので、期間内に2,3回しか食べられなかった。また食べたい、どうしようと思っていたところ、そうだ、自分で作ればいいではないか、と思った。

そこでレシピアプリで検索したところタコライスのレシピが見つかった。タコライスはものすごく作るのが簡単だった。挽肉を炒めて味付けすればもう完成したようなものだ。遅くても15分くらいでできるだろう。私は大学在学中タコライスで生存していたようなものだ。というのは大げさだが、けっこうな頻度で作って食べていた。実家に帰ってきてから一回しか作っていないので、気が向いたらまた作ろうと思う。

失敗した料理といえば、キュウリとワカメの酢の物だ。乾燥ワカメをふやかしたらなぜかものすごくぼよぼよになり、不味かった。母に聞いてみたところ、多分安いワカメを使ったからそうなったのだろうという回答をもらった。しかし、私はその失敗がトラウマなのでなかなか一人で作る気にはならない。失敗しても引きずらないことは料理上手になるのに重要なポイントかもしれない。ハンバーグがまとまらなくて失敗したなんてこともあった。

他に料理で決定的に失敗したことを思い出そうとしたが意外と出てこなかった。それは決して私が料理上手ということではなく。まずくもなく、おいしくもない料理をたくさん作っていたからだろうと思う。そういう料理は記憶に残らない。記憶に残らない料理、すごくどうでもよく、なんのエモさも感じない。まあ不味くなかったのだからよかったということにしておこう。

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実家に帰ってきて3年目の今、私はいつも母と晩ご飯を作っている。と、言っても司令塔は母で、私は言われたことをやるだけである。なので、段取りとかを考える能力は全く向上していない。

しかし、前よりは野菜を切るのがうまくなった気がする。そして、母とおしゃべりしながら料理を作るのはわりと楽しい。話しかけすぎて母を怒らせてしまうこともあるが。母は料理がうまい。尊敬しているが、私は母のように料理上手にはなれない気がする。それでもいつか自分だけで母のために料理できたらいいなと夢想したりしている。

私はまた一人暮らしを始めたい。その時、大学の頃よりもうまく生活を回していきたい。そのために前よりは料理がマシになるようにゆるくがんばっていきたい。