ご結婚おめでとうございます。

私があなたに出会ったのは、私が中学三年生の頃でした。体育の授業で、先生に割り振られたグループで創作ダンスを披露する、という授業。私のグループは偶然にも男性アイドル事務所のファンの子が多く集まっており、当時から二次元のオタクをしていた私は何となく浮いていました。そんな私に「この動画、面白いから観て」とダンス練習用に貸し出されたノートPCで検索した動画を差し出してきた同じグループの女の子。今まであまり関わりのなかった子でした。その子はおそらく“面白くて笑える動画″をただのコミュニケーションツールとして、私を輪に入れるために見せてくれたのかもしれません。

しかしそこで初めて見た、トンチキな歌詞の替え歌を歌いながら、一生懸命なのにどこかテンポの遅れたダンスをするあなたの姿。
人生で初めての一目惚れでした。

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あなたに一目惚れしたあの日から、私は沢山の思い出を作ることが出来ました。価値観も大きく変わりました。
幼い頃から人見知りが激しいタイプで、インドア派だった私。でもあなたを介して友達も出来たし、あなたの姿を生で見るために外出する機会も増えました。身だしなみに気を使わないタイプだった私。でもあなたに会いに行くためには綺麗に、おしゃれにしておきたい。あなたの目に留まりたいのではなく、あなたの1ファンとして、他の綺麗なファンの足を引っ張りたくない。その一心でした。赤ちゃんの頃からアトピーを患っていたので、いつも人体実験をしている様な気分で色々なお化粧品やスキンケアも試しました。その甲斐もあってか、今では立派なコスメオタクになったのも、ある意味あなたのお陰かもしれませんね。私の行動の全てはあなたが原動力でした。

このお手紙を書こうと思ったキッカケですか?これもあなたに出会ったあの日と同じで偶然が重なったからです。偶然「かがみよかがみ」の応募項目が目に留まっただけ。そしてテーマの締め切り日が偶然あなたのお誕生日に設定されていたからです。そりゃあ八年近くも応援していたわけですから、その二つの数字の列を見れば瞬時に反応してしまいますよ。とても大事な日だったから。

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そんなあなたが結婚して一年以上たちました。その間あなたに対してずっとモヤモヤしていたわけじゃないです。勘違いしないでね。むしろおめでとうございます、末永くお幸せに、の気持ちが強かった。これは本当。

でも一方で、あなたの事は私を変えてくれた偉大な神様だと思っていたから、正直どうしてだろう、という気持ちも大きかった。だって神様が誰か一人の物になるって、そんな事あり得ないから。

あなたはキラキラと輝く、どんなに手を伸ばしても絶対に届かない空のお星さま…だと思っていたら、一人の人間が簡単に掴んじゃった。私が彼方の星だと思っていたのは、身長より少し高い天井で光るただの電球だった。こんな馬鹿みたいな勘違いある?って。なんて事を様々、頭の片隅で考えてしまう自分がいた事に気が付き、自分で自分を嫌悪していたら、もうこんなに時間が経っていました。ごめんなさい、最低だよね。

こんな最低で自分勝手な人間があなたを応援する資格なんてないよね。今更、純粋な気持ちで応援出来るファンには戻れないです。有料ファンクラブも退会しました。あなたの顔を見ると、私の気持ち悪い思考が何度も頭をよぎるから。 

私の人生の約三分の一を共に歩んでくれてありがとう。これからもお仕事頑張ってください。じゃあね。