今の恋人と付き合って４年が経った。彼は大学の部活の後輩で私よりも2歳年下で、今はお互い社会人だが付き合い始めた当時はどちらも学生だった。彼は、私の歴代彼氏の誰よりも「一緒に過ごしたい、出かけたい」と思ってくれる人で、私は彼との付き合いを通して「恋人として一緒にいる」ということの私の常識をいい意味でぶち壊してくれた。

遠距離も挟んだ4年間、彼とはいろんなところに出かけたし、いろんな経験を一緒にした。その中でも、最も印象に残っているデートを記したいと思う。

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付き合ってまだ半年も経っていないころ。彼は大学2年生、私は就活を終えた4年生だった。前日に部活の飲み会があり、悪酔いしてしまった私は、二日酔いからデートをスタートさせる羽目になってしまった。

彼は予約していたレンタカーで迎えに来てくれた。一方の私はものすごく気持ち悪くて、とてもではないが車に乗れる状態ではない気がしていた。それでも「寝てていいから行こうよ」と連れ出された。片道2時間ほどの長距離ドライブだったが、私は彼の言葉と厚意に甘えて、往路の半分近く寝ていた。

行先は展望台もある、景色の良い海沿いの高台。寝かせてもらったことと、自然に囲まれた心地よい風もある空間で、その場所を楽しめるくらいには回復できた。とはいえちょっと食事ができる状態ではなかったのだが、彼はお弁当を作ってきてくれていた。景色の良い場所でピクニックしたいとせっかく作ってくれたお弁当を食べることができなくて、残念だったし申し訳なかったけれど、彼は嫌な顔ひとつしなかった。

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次に、私がずっと行きたかった、紫陽花のきれいな場所に連れて行ってくれた。県内だけでなく全国的にも有名な、一面青い紫陽花で満開のお寺。ここに着くころにはほぼ全回復し、念願のスポットにテンションが上がり写真を撮ろう、撮ってほしいと頼みっぱなしだった。ここでも飽きもせずにつきあってくれた。

帰りにレンタカーを返却し、そこからの帰り道。歩きながら伝えたいことがあるという彼。

改まって何を言われるのかと思いきや「本当に好きなんだ」と。普段から好きと言葉にして伝えてくれる彼ではあるが、普段会うのは夜、泊まりに来る時が大半だった。プラトニックではいられない夜に言ってもなかなか本気度が伝わらないから、こうして日が出ているうちに、外で伝えたかったのだと言ってくれた。

丸一日一緒にいられることがあまりなかった当時、貴重な1日デートの締めにそんな風に言ってもらえて、私はいたく感激した。ちゃんと自分の本気度が伝わる時間と場所を選んで何かを話すというのは、簡単にできることではないと思うから。

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それまでの私は、付き合っている相手と2人きりで終日出かけたことがほとんどなかった。一緒に帰ったり、グループで旅行したり、それこそ大学生になってからは夜だけ会うといったことしかなかったので、一般的なデートをするという考え自体が欠如していたと思う。むしろ恋人という一番近い存在なのだから、相手の他の時間を尊重した方がいいのだと思っていた。

彼はいつも私との時間を大切にしたいと言い、実際にそうしてくれた。「どこか出かけようよ」と誘ってくれたし、何回かそんなデートを繰り返し、私からも誘うようになった。日中2人で一緒にいてもいいんだと、思えば当たり前のことに気づけたのは彼のおかげだ。

遠距離を乗り越え、ついに一緒に住むことができるようになった今は、何も予定がない日こそ1日中一緒にいる。これもかけがえのない日常だけれど、新鮮な気持ちを忘れないようにと、今でもたまに2人で出かける。