一目惚れならぬ一言惚れ。彼のその一言で、私は一瞬で恋に落ちた

2023/07/07

人を好きになりやすいタチだ。顔の好みのストライクゾーンが人より広いのだろうという自覚はある。ただ、それ以上に、相手の「素敵」と思う部分を見つけると一気に好感度が爆上がりするし、時には恋愛感情に変わる臨界点すら突破してしまいそうになる。その時自分に恋人がいるかいないかは、関係ない。

私は友情の延長線上に恋愛があると思っていて、好きになる相手も同じコミュニティに属していてある程度仲良くなった友達や先輩ばかりだった。でも、一度だけ、その説明がつかない恋をしたことがあった。

相手の目を見て、見つめられて。私の一目惚れは「目」からははじまる

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高校３年生の春。同じクラスになって１週間、初めて言葉を交わした相手に、たった一言で惚れてしまったことがあった。

同学年だし、話に聞くこともあったので相手の顔と名前は認識していた。だけど、どんな人かは全く知らなかった。唯一、私が好きな漫画を彼も好き（それも、そのことで少し有名だった）ということだけは事前にわかっていて、それならその話題で盛り上がれるかもと思っていたくらいだった。

その場面は、新入生向けの部活オリエンテーションの時に訪れた。
私たちの部はみんなでダンスをし、その合間に部活紹介をするという内容だったのだが、その時に足首を怪我していて出られない後輩が1人いたのだ。

その子は観客席で、私たちの発表を1人で見ていたらしい。それに気づいた彼が、出番が終わった私に「怪我してる子があそこに1人でいたから行ってあげて」と知らせてくれたのだ。

私は感激し、落ちた。そのひとことに、彼の人間性が詰まっていると感じたのだ。周りへの気配りと気づいたことを人に伝えようと思える人助け精神。純粋に、なんて素敵な人なんだと思った。

その日、部室に戻って明らかに私が浮かれていたので、同期の部活メンバーには私がまた恋をしたということがバレてしまった。私の恋愛をいくつも見ていた仲間たちだが、にしても今回は最速だねと言われた。

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その彼はそんな言葉が出てくるのも納得のいい人だったし、一緒にいて楽しかった。授業中寝ていて先生に注意されることもあったが、球技大会では大活躍していてものすごくかっこよく見えた。気持ちが高ぶり、勢いでその日に告白してしまおうかと思ったくらいだったが、横にいた男子が「絶対今回こいつに惚れる女子いるよな」と言っていたのを聞いてギクッとし、我に返った。その前から惚れているからちょっと違うのだけど、男子から見てもかっこよかったということだろう。

その後、別の機会に彼に告白したが振られてしまった。気まずくなることはなく、卒業までの期間も卒業してからの集まりでも普通に楽しく過ごすことができた。だからこの恋に対して悪い印象は全く抱いていないものの、さすがに惚れたのが一瞬の出来事だったなというのは、１０年近く経った今でも思う。