私の理想の休日。

まずは起床。目覚まし時計はかけない。カーテンの間から差し込む、窓の外の明かりで目が覚める。太陽と一緒に朝を迎えるのは気持ちがいい。そのせいか、オフの日もオンの日同様、早めの時間に起きる。まあ、念のために「最低限起きたい時間」に目覚まし時計をセットするけど。

天気がいいので洗濯。晴れの日に洗濯物を干すのは気持ちがいい。外から聞こえる子どもの声も、平日とは違う明るさを感じる。ベランダにいるうちに、最近育て始めたバジルに水やりをする。花瓶に生けている花も水を交換しておこう。部屋で小さな生き物を育てるだけで、心が穏やかになる。ゆったりとした気持ちで身支度を始める。

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この日はチケットを予約していた美術展へ。最寄りの駅から美術館まで、そこそこ距離がある。バスも出ているが、散歩が好きな私は歩いて向かうことに。道中には大きな公園がある。時間にまだゆとりがあるため、道路沿いではなく、公園を寄り道しながら向かう。走り回る子どもたち、バドミントンをするカップル、ベンチでご飯を食べている家族連れ…。各々が公園での休日を楽しんでいる様子を見ていると、こっちまで幸せになる。ほくほくした気持ちで、足取りがさらに軽くなる。

美術館に到着。今回の目的は「ディオール展」。ずっと行きたいと思っていて、ようやくこの日を迎えた。大人気の美術展でチケット予約も難航したけど、粘りに粘ってPCと睨めっこをし、「予約が完了しました」の表示が出た時は跳ね上がりそうだった。それくらい、楽しみにしていた。

会場の入り口脇にはディオールのこれまでの業績が年代ごとに展示されている。英語だったので、分からない単語は調べたりもしたが、ディオールと日本の繋がりを読み取れた。同時に、久々に英語に触れたので、勉強したい気持ちと英語をもっと使いたい気持ちが高まる。入り口に近づくと、反対側には日本語版が展示されていて、「私、見逃してた…」とクスッと笑ってしまう。

そして会場の中へ。少しずつ進んでいき、ドレスが展示されているコーナーに入る。その瞬間、異次元へスリップしてしまったのかと思ってしまうほど、きらびやかで美しい数々のドレスに圧倒されてしまう。それは私だけではなく、周りの来場者も同じだろう。普段、ショーウィンドウのガラス越しでしか見ることのできないディオールのドレスを、こんなに近くでまじまじと眺められる。一つ一つ丁寧に見ていくと、デザイナーのこだわりや高い技術が感じ取られ、私の方にまで彼らの洋服に対する愛着が生まれてくる。服を作るって、素敵な仕事だな。私はじっくり、時間をかけて会場を巡った。

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余韻に浸りながら美術館を後にする。この近くに行ってみたいカフェがあるので、そこへ行くとしよう。道中、美味しそうな焼き芋屋さんを見つけた。寄り道しちゃえ。焼き芋は3種類あり、そのうちの一つを選ぶ。ほくほくして、甘さ控えめだ。美味しい。

カフェへ着いた。ここはブックカフェで、本を読む人、飲食する人、作業する人、みんなウェルカムだ。置かれている本もとても興味深い。新刊から古本、珍しい本も多い。本好きな私は本を物色することに夢中になってしまう。ようやく一通り見たと思ったら、いい時間になっていた。テイクアウトで中東の国の焼き菓子を買い、店を出た。そしてゆっくり自宅へ帰る。

夜は好きなアイドルの動画を見て、ゆっくり湯船に浸かり、アロマオイルを焚いて眠りにつく。こうして、理想の休日が幕を閉じる。

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実はこの休日、ここ最近の実体験だ。ゆったりとした朝も、ディオール展も、ブックカフェもいつか実現させたいと思っていたが、理想以上の休日を過ごすことができた。

私の理想のオフの過ごし方は、その時の気分や嗜好によって変わる。後で振り返って満足度が高かったなら、それは理想のオフだったのだと思う。

高校生の頃から、私はスケジュール帳にシールを貼る習慣がある。予定を立てる前に貼るのではなく、楽しかった日や嬉しかった日を振り返り、シールを貼っているのだ。過去のページをめくって、シールの多い月を見ると「この1ヶ月は楽しいこといっぱいだったんだな」「こんな1ヶ月をまた過ごせるようにしたいな」と仕事のモチベーションになり、さらに楽しい予定を入れたくなる。このスケジュール術は、私にとって「思い出の可視化」。可視化することで、未来の楽しみに繋がる。これからも楽しみを増やしていこう。