私の最強デート記はあの人との初デートだ。
今でこそ私の恋人は食べちゃいたいぐらいかわいいし、一緒にいるとベッタリしてしまうのだが、初デートの時はまだお互い付き合っているような状態ではなかったためドキドキハラハラしていた。

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初デートはクリスマスイブ。
カップルがデートする最適の日と言ってもいいぐらいデートにはぴったりの日だった。
私たちはお互いに好意はあったものの、「つきあう?」という状態ではなく“好きだけど付き合っていない初々しい二人”みたいな距離感だった。

初デートの場所は江ノ島。
あの人が「海を見に行こう」と言ったのが始まりだった。
「なぜ海なの?」とあの人に聞くと、「海が嫌いな人なんていないと思ったから!」と単純な答えが返ってきて思わず笑ってしまった。
二人で遠出をするのは初めてだったし、私はデート経験が今までなかったので、とりあえずあの人にデートプランを任せて私は初デートの日を心待ちにしていた。

待ちに待ったクリスマスイブ当日。それはあの人の遅刻から始まった。
冬だから外で待つのも寒い。そしてあの人も来ない。
「ごめん!少し待ってて!」との連絡が来て約20分が経過。あの人に会いたくてたまらない私は「早く来ないかな…」とそわそわしていた。

遅刻してきたあの人とようやく会えて、電車に乗って江ノ島まで行ったものの、天気がいいのに海がザッパーーーン!風がビュービューというダブルアタックで思わず笑ってしまった。
あの人は「見て!海だよ!海!」と目をキラキラさせて喜んでいた。その様子にキュンとしてしまったものの初デートプランを全て彼に委ねてしまった私は何をしたらいいのか分からなかった。

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「とりあえず、江ノ島をぶらぶらしようか」
あの人の一言に私は頷きながら江ノ島を歩いた。
なんとも言えないような二人の微妙な距離感。触れそうで触れないスレスレの距離を保ちながら私たちは歩いた。
その時突然、私の脳裏にとある願望が横切った。
「あの人と腕を組んでみたい」という願望。
「でもいきなり腕組まれたら嫌だよね…どうしよう…」と考え込んだ結果、聞いてみることにした。

「腕、組んでもいい…?」
私がそう言うと、あの人は「…どうぞ」と言った。明らかに今までとは違う反応で、私はドキドキしながらあの人の腕を組んだ。
私の心臓はバックバクで何を考えていたのかも覚えていない。ただ、身長差があったため腕組みがしづらかったことは確かだ。

「腕組みじゃなくて、手を繋ぎたいな…」と心のなかで思った私は、スルスルと腕からあの人の手の方へと自分の手を移動した。あの人の手に私の手が触れたとき、あの人はずっと無言だった。
その後、ぎこちなくお互いの手のひらが重なり手を繋ぐことができた。

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「今度は恋人繋ぎがしたいな…」
どんどん欲深くなっていった私はあの人の指に自分の指を絡める。その時もあの人は何も言わなかった。私の心臓はバクバクしすぎて爆発寸前だ。

「あ、一旦階段だから手を離そうか」
あの人の一言でハッとする。手を離してしまうことにもどかしく感じた。
でも、今度はあの人から私の手を繋いできた。嬉しくて涙が出そうだった。

手を繋ぐことに必死だった私は、手を繋いだ以降のことは緊張しすぎて覚えてはいない。
けれども、これが私の大切な“最強デート記”なのだ。