「聞いていいのかわからないんだけど…」から始まり、「普段のデートは何をしているの?」と聞かれることがたまにある。なぜ、デートごときをそんなにも聞きにくそうに切り出すかというと、私が相手に対して恋愛感情や性的欲求を抱かない、いわゆるアセクシャルと呼ばれる人だからだ。そんな私だが、「恋じゃなくても好意を持ってくれているなら付き合ってほしい」と言ってくれたパートナーと7年と少しの月日を共に過ごしている。今回は、アセクシャルの私とそのパートナーの、ちょっと聞きにくい?でも気になる!デートって何するの?へのアンサーを書いていく。

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まず初めに、私は相手と性行為をしたいと一切思わない。そういう雰囲気になるだけで、逃げだしたいと思う。だから、デートでラブホテルに行くという経験は一度もない。「デートでラブホテルに行ったことがない」というと、周りの反応は様々だ。

「だったら、家で……?」と聞かれるが、おうちで共に時間を過ごすことはあってもセックスはしない。「え、セックスしないなら何してるの?」とも聞かれたことがあるが、普通におうちデートなら映画を見たりゲームをしたりして1日が終わる。おそとデートでも、買い物したりカラオケにいったりしていたら1日が終わる。

私の中で、相手の求めるデートにこたえられるラインはこうだ。友達や家族とできることなら、だいたいOK。映画鑑賞やショッピングは友達や家族とできることなので、問題なくデートが成立する。ハグも友達や家族とするので可能な範囲でこたえる。旅館やビジネスホテルに泊まるのも大丈夫なので旅行に行くこともできる。

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逆に友達や家族とできないことはNG。でも、実はこれって結構限られている気がしている。パッと思いついたのは、恋人らしさを求める、キスをする、性行為をすることぐらいだ。これさえ求められないのであれば、私は意外とデートができるということに書き起こしながら驚いている。

でも、こんなにもNGが少ないと評価するはアセクシャルの私だけ……とも思っている。「それって友達となにが違うの?」「私はパートナーと、キスもセックスもしないなんて無理」と、時々言われることがあるからだ。

私にとってパートナーの存在は、特別。でも、それは恋愛じゃない。最強の友人で人生を共に歩む最高の相棒だと思っている。この2人の関係につける名前を私はまだ知らない。でも、戸籍上は結婚しているので夫婦と呼んでいる。私たちが共に過ごす時間をデートと呼べるのかもわからない。でも、一番近い言葉がデートだから、デートと呼ぶ。私たちのデートは、キスやセックスはないけれど、していることはいたって普通のデートだと思う。

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私はパートナーと過ごす時間が心地いい。同じ映画を何回見ても呆れられないし、ショッピングで優柔不断を発揮してもせかされない。一緒に行ったスーパーで、グラム98円の豚こまと39円のもやしを2袋買う。「今夜は鍋にするぞ~!」と、豚肉ともやししか具材がないのに一緒にはしゃぐ。私はこの人と人生を歩んでいきたいと思う。そんな日常が、私たちにとってのデートなのだと思う。

ここまで、デートって何するの?へのアンサーを綴ったが、アセクシャルの人がみんなそうというわけではない。あくまでも、私の答えだ。ほかの人に聞くときっと違う答えが返ってくるだろう。

大事なことは、人の数だけデートの内容は違うということ。それは、セクシャルマイノリティの人たちに限ったことではなく、どんな人にも言えることだろう。大なり小なり違いはある。違いの大きさで差別する社会にならないよう、私はこれからも発信していこうと思う。