女性アイドルが好きだ。
そのなかでも特に、日本の典型的なアイドル、という雰囲気のアイドルが好きだ。黒髪のロングヘアで、不自然じゃない程度に色白で、細いけれど健康が心配になるほどではなくて、黒い衣装よりも白い衣装の方が似合って、笑顔が1番かわいい!っていうタイプのアイドルが好きだ。

ここ数年、TwitterなどのSNSで、女性アイドルを参考にしたメイク法だったり、彼女達みたいになりたい!というモチベーションを持ったアカウントの投稿をよく見る。気持ちは分からないでもない。けれど、私はどちらかというと、昔からいる典型的なアイドルヲタク、って感じのヲタク側だと思う。アイドルに憧れ、自分もそのようになりたいと努力する女の子達よりは、ただひたすらに画面を眺める男性ヲタクの方が、近い存在であるように感じる。今年でもう25歳になる私だから、現在は憧れても仕方ないというのもあるのだけれど、19歳くらいの頃からこのスタンスだった。

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そもそも、どんなに頑張っても彼女たちのようにはなれない、というのもあるかもしれない。私は生まれつきがっしりした体格だし、小太りでもある。運動も嫌いだから、痩せる気力がそれほどない。顔もThe一般人という感じだ。もしかしたら、もうちょっと可愛ければ、憧れを抱くこともあったのかな、とも思う。それはそれで、近づききれないことにもどかしさや悔しさを感じたりしそうだし、今の方が楽だったりしてな、なんて思ったりもする。

けれど、一つだけ。一つだけ、そういう、アイドルみたいな女の子になることへの未練というか、執着のようなものがうっすら滲んじゃってるな、と思う部分が、自分にもある。
それは髪型だ。私は大学3、4年時から現在まで、ロングヘアを続けている。髪色は黒ではなく、ブラウン。アイドルに求めるのは絶対に黒髪だけれど、自分には似合わないからだ。

ちなみに私は、ショートヘアがそこそこ似合う。大学2年のときにショートボブにしたが、なかなか好評だったし、自分でも悪くないと思った。今のロングヘアよりも、お洒落な印象にはなると思う。だから、ふと「そろそろショートにしようかな」と思うときもある。だが、その直後、「今ショートにしちゃったら、もうずっとロングにはできないんじゃないか?」という懸念が浮かぶ。私は髪質があまり良くない。今だってインバスとアウトバス合わせて5種類のトリートメントを使って、なんとか質感を保っている。年齢を重ねたら、もうロングに出来るような髪質ではなくなっている可能性が高い。

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それに、今。ギリギリ20代前半の今、ロングヘアでいることで、わずかなアイドル感を醸し出すことが出来ているのではないか?と思う。もちろん、私にアイドル感なんてものは無い。あったとしてもほんのわずかな、「アイドル風味の風味の風味」くらいの、無いに等しい風味だろう。けれど、今より年齢を重ねたら、それすらも期待できなくなってしまうような気がする。
心の奥底にある小さな小さな憧れ。これが完全に消え失せるまでは、私はきっと髪を切れない。