私が美容室に行きたくなるときは、リラックスして気分転換したくなるときだ。
しかし、それ以上の理由として、頑張っている人に会いたくなるからだ。

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今の通っている行きつけの地元の美容室が見つかる以前は、毎回変わる美容師さんやアシスタントさんに人見知りの激しい私はソワソワした。
そして、同じ美容室に何度も何度も足を運ぶことを好まなかった。
むしろ、美容室に行くこと自体が少し苦痛になっていた。
だから、美容室に行くのは1年に1回くらいか、多くても半年に1回のペースくらいだった。

しかし、地元の同級生のお父さんがやっている美容室に通い始めてからは、美容室に行くのがすごく私の楽しみになっていた。
毎回、期待を越えて私の気分を上げてくれるカットやパーマ・カラー技術や、落ち着ける店内の雰囲気、近況報告などの他愛もない会話を楽しめる空間。
そして、なんと言ってもシャンプーの時のマッサージ!
あんなに贅沢で至福の時間が、日々の疲れを一気に吹き飛ばしてくれて、なんだか中毒性があった。
あのシャンプーの時のマッサージが気持ち良すぎて、またすぐにでも通いに行きたくなる場所。
施術中の店主との会話も、地元に住んでいるのになかなか会えない同級生の近況を、家族を通して様子を伺える、そんな時間も私の楽しみの一つだった。

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そして、その素敵なお店を継ぐべく、その美容室の長男が今年美容師の資格を取得した。
それが、私の同級生だったのだ。
小学生の頃からお互いに知る間柄、自分の家族のことのように、そのニュースが私は心から嬉しくて嬉しくてたまらなかった。
私の初恋の相手が、その同級生だったからこそ、大人になるにつれて願わぬ恋を寂しく想いつつも、いつまでも一方的に気に掛けてしまう相手だった。
いくらラインやインスタで繋がっていても、日常的に連絡を取り合うことはなかったから余計になのか。
いつまでも私の甘い記憶の中に、相手の存在が留まって漂っていた。
社会人になると、どんな姿で、今何をしているのか、店主であるお父さんから近況を伺うことしか私には出来なかった。
だから、同級生が美容師の世界で頑張っていることを店主から聞いたとき、「私はいつか、彼に髪を切ってもらうんだ!」って、私自身に言い聞かせたのだ。

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「頑張ってる人」に会うと、「私も負けてられない!!」と、私は凄く感化される。
それくらい「夢中になれること」に直向きに努力できることがある人は、本当に本当に輝いて立派に見える。
当の本人にはそんなつもりはなくても、端から見ればそれは一目瞭然。
比べたくなくても、自然と自分と比べてしまう。
「その人のように、私も日々努力出来ているだろうか…」と。

美容室に行くと、気分転換やリラックスが出来る以上に、私は新鮮な刺激を受ける。
だって、未だに大好きな人の、頑張っている姿を想像できるから。
いつか、その人に私の髪を切ってもらう夢を膨らませて。
また会う日まで、お互いに成長していますように。