小さい時からずっと髪が短かった。理由は楽だから。あとは極端にドライヤーの温風が苦手で、なるべく浴びたくないから。
もうひとつの大きな理由は、肌が荒れて酷かったので、首がちくちくしたり、洗うときにシャンプーが余計に肌にかかり痒くなるのが嫌だったから。でも、単純に髪が短いのは好きだった。ただ、痒くなるのが怖くて、大人になるまでパーマはかけてこなかった。あとは乏しい想像力で失敗した時を想像してしまい、なかなか踏みきれなかった。
気づけば10年以上、黒髪ストレートベリーショートの同じ髪型だった。気にしてないわけではなかったが、どこかでこれ以上似合う髪型がなさそう、と思っていた。

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2年前の夏、ふと思い立って短い髪のままパーマをかけてみた。
肌も落ち着いてるし、仕事でもプライベートでも気持ちを新しくしたい時期だったと思う。最初は控えめにゆるく、が、だんだんとくるくるのウェットな感じになっていった。とても気に入っていたし、今まで言われたことのないような褒め言葉をたくさんかけてもらった。ずっと同じ髪型だったことで人から髪のことを言われ慣れていない私は驚いた。

勝手なイメージで、パーマをかけたらメンテナンスが大変になると思っていた。確かにセットするのは手間だが、実際のところストレートのベリーショートよりもはるかに楽だった。今まで毎朝寝癖に悩み、丸いシルエットを保つために朝髪を流し、乾かしていた。でもパーマだとその手間は無い。盲点だった。楽するためのショートだと思っていたが、実はもう少し上の楽が存在していた。しかも可愛い。大好きなショートヘアに、楽で可愛いパーマスタイルがしっくり来て、私は多分無敵になった。

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こんなに手軽に自分の気持ちが上向きになるのに、何年あたためていたんだろう。最初はもう少し気付けば、と思って損した気持ちになったけど、だんだんと思考が転換していった。新しい服を買うにしろ、メイクを変えるにしろ、ネイルにしろパーマにしろそうだ。変化させることで気持ちを上げることができることの引き出しが増えただけだ。よく考えると、悪いことはひとつもない。

長年アトピーと戦っていたこともあり、自分の見た目に自信がなかった。女の子なのに可哀想と言われるのが嫌で、髪を短くしていた時期もあった。大人になってほとんど症状が無くなったけど、今もその悩みが全くないとは言えない。しかし、マイナスの面だけではなく、自分でどうにかできるプラスの面に目を向けることも必要だと感じた。自分で自分の見た目を好きでいるための努力は、人には頼れない。マイナス面に気を取られ、プラスにすることに目を向けられなかった小さい頃の自分に教えてあげたい。今はもっと自分の見た目を気に入ってる、と。

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それからは髪色を変えてパーマにしたり、極限まで量を減らしてからパーマにしたり、いろいろと試してみてる。変化することの楽しさを感じることができている。でも長年一緒だったショートから抜けることはできず、今の所髪を伸ばす予定はない。これ以上に刺激が欲しくなれば、金髪ロングとかになるのかもしれないけど、可能性は今のところ低い。