今のわたしのロールモデルは、1人の男性。
彼はわたしに、新しい世界を見せてくれた。

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少し前、わたしはかがみすとの方たちの影響を受け、未経験の業界へ飛び込むべく、新たな勉強を始めたところだった。
彼とは、その過程で出会った。

彼がしていた仕事の話が、とても魅力的だった。
聞いてる限り、かなり緩い職場で、仕事内容も楽そう。
そして何より、病みやすいわたしでもこなせそうな気がした。

彼がしていたのと、同じ仕事に就きたいと思った。
その他にもその職種を目指した理由はたくさんあるけれど、わたしは彼がしていた仕事を目指して就職活動をすることにした。

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わたしは自負している。
男を見る目も、会社を見る目もないことを。
今までの会社選びは9割ぐらい失敗している。
だから、今回は会社選びを他人任せにしようと思った。
もちろん、他人任せにしたからって、会社が微妙だったとしても、他責にするつもりはない。

「会社選びを他人任せにする」という選択を、自己責任ですることにした。
そんなわたしに、彼はお勧めの会社をピックアップしてくれた。
彼に言われるがままに、片っ端から応募した。
選考の準備も彼にどうしたら良いか相談した。
そして、選考が実際どうだったか、各社からどんな連絡があったか話した。
きっとそこまで興味はなかったと思うけれど、いつも耳を傾けてくれた。
おかげさまで、めでたく第一志望の会社から内定をもらうことができた。
いつも的確なアドバイスをくれた彼のおかげ。

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わたしは今、その会社で働いていて、最近配属先が決まった。
なんと、わたしの配属先は偶然にも、以前彼が働いていた場所だった。
わたしが彼から聞いていた情報に間違いがなければ、勤務地どころか、部署名・課名まで全く同じところだと思う。

配属が決まったときに、わたしは彼を追いかけているような気持ちになった。
仕事を始めてから、彼との繋がりはない。
だから、彼がかつていた場所で働くわたしは、彼の影を追うようだと思った。

いつかまた、彼に会いたい。
それを伝えたら、「それは西野カナに言って」と笑われたけれど、わたしは西野カナじゃなくて、あなたに会いたいんです。

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ねえ、今読んでくれてますか?
わたしは、あなたがかつて作り上げた場所で働くことになりました。
びっくりだよ。

あなたが作ったものを見ることができて、とても嬉しく思います。
しっかり見て、勉強して、今度会ったとき馬鹿にされないように頑張ります。
そして、次に転職するときも、わたしはあなたがいるところに行きたいです。
影じゃなくて、偶像じゃなくて、あなたの背を追いたいです。
だから、わたしに背中だけでもいいから見せてよ。

って言ったらきっと、彼は「そんなの知らないよ」って言うんじゃないかと思う。
だけどね、これは知っっておいて欲しい。
もし、ひとつだけ願いが叶うとしたら、彼女がいないときのあなたともう一度出会いたい。

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わたしの人生は、彼に出会って大きく変わった。
逆に言えば、今のわたしの人生は、彼に出会わなければなかったものだと思う。
こんな仕事があるよって教えてくれたこと、会社選びから就職までサポートしてくれたこと、背中を見せてくれたこと、全部ありがとう。
あなたが持っていた資格も、ついに手に入れたよ。

これからも、わたしはわたしのロールモデルの背中を追いかけ続ける。
いつかまた、わたしに手を差し伸べてほしいな。