うろ覚えではあるが、ある少女漫画でこんなシーンを読んだ。
一見、平凡な女子学生。そんな女子高生が垢抜けを決心。メガネをコンタクトに変えて…髪型を整えて…リップを塗ったら…
あら不思議!とても可愛い女の子に大変身!
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お花畑のような話の展開。広がる青春ラブストーリー…
小さい頃にこんな感じの漫画を読んだ私は「髪型を変えるだけでもだいぶ印象が変わるかも!」という希望を抱いた。
“頭全体の約8割が髪だから、ヘアアレンジでだいぶ変わる!”といった話を聞いたこともあった。
私は美人な母親に似ず、「なんでこんなに似てないんだろう…」と幼少期のころからずっと思っていた。
そんな思いもあって、中学生の私は「髪型を変えるだけで少しでも別嬪さんに見えるなら、チャレンジしてみたいな」という心意気からショートヘアに挑戦することを決めた。
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なぜショートヘアなのか。
それは今まで髪を伸ばしたことしか無かったから、という理由もあるが、“肩に髪がついたら結ばないといけない”という学校の校則があったことが一番の要因かもしれない。
ミディアムヘアにして髪をおろして、時々ヘアアレンジをして…という野望を抱いたこともあったし、実際にはそうしたかったけれど「髪を結ぶか、そうしないなら切れ!」といった校則の威圧に反抗するのも労力の無駄だと考えた私はショートヘアを選択した。
ショートヘアでもかわいい髪型はたくさんあるし、何より友達に「髪切ったの!?いいね!」「似合うね!」と言われたい!!!…という卑しい心持ち(?)もあり、美容院に行く日をそれはそれは待ち遠しく思っていた。
でも、私は美容院でのカット中に現実と己の限界に気づくことになるが、このときの私はまだそのことを知らなかった。
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この話の展開を聞いて、おそらく読んでいる人はもう察しがついているだろう。
…そう。私はとてつもなくショートヘアが似合わなかった。ここまで似合わないとは想定外だった。何かの間違いだと思いたかった。しかし、鏡に映った自分を見たときに「あぁ、これが現実…」と思い知らされてしまった。
鏡に映った私の姿はまるでコケシだった。決してコケシをバカにしているわけではない。コケシの方が私よりも愛らしいと思うし、実際にコケシの方が愛嬌がある。
ただ私がイメージしていた雑誌パンフレットに載ってるモデルさんの髪型とは全く違うコケシちゃんヘアーの私がいたときには非常に驚いてしまった。
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美容院の人が失敗したとかでは全く無く、ただ単に私は自分に合わない髪型を選択してしまったのだった。
「とりあえずどんな髪型でも大丈夫だろう」と考えてしまったのが甘かった。
ショートヘアは似合う人と似合わない人がおり、私はその後者だった。
「こんな似合わない髪型じゃ嫌だ…ショートヘアは人を選ぶなんて聞いてない…」となきべそをかいていた私。美容院の人はそんな私を必死になだめてくれた。
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幸運なことに、友人からの反応は大したことはなく「髪切ったんだー!」ぐらいの話しかしなかった。
少女漫画で髪型を変えたらミラクルチェンジできると思っていたあの頃の私に伝えたい。
現実はそう甘くはないぞ。
ちゃんと美容院の人と相談をしながら髪型を決めなさい。