数年前にSNSで見つけた、大好きな"推し"。
初めて見たとき、彼の魅力に目を輝かせたのを覚えている。
今はそれだけではなく、画面越しに見るたび笑いが止まらない。
彼はイケメンのコメディアン?
――いいえ。
じゃあ、ちょっと天然なアイドル?
――違います。
彼は一体、何者なの?
――彼は、可愛くて面白いワンちゃんです!
◎ ◎
そう、私の"推し"は人ではなくて犬。
名前は、しらす先輩。
トイ・プードルの男の子。
テディベアのようなまん丸フォルム。
ボーッとしてると出てしまう小さな舌。
仲良しのワンちゃんたちとの仮装大会。
可愛いけれど、クスッと笑ってしまう。
ここでは語りきれない魅力が、しらす先輩にはある。
ハマること間違いなしなので、たくさんの人にしらす先輩を知ってもらえたら嬉しい。
幼少期から犬好きの私。
近所に飼っている家庭が多かったので、見かけるたびに触らせてもらっていた。
私は飼い主さんだけでなく、その家のワンちゃんにも、名前を呼びながら挨拶していた。
そのせいか「犬にまで挨拶できて偉い!」と褒められていたと、私が大きくなってから母が教えてくれた。
上京してからも、それは変わらなかった。
道端で挨拶した知らない人のワンちゃんにも懐かれることが結構あった。
その子の名前は教えてもらって、飼い主さんの名前は知らないということが当たり前だった。
前に住んでいたアパートのそばにもトイ・プードルの女の子がいたので、その子を触らせてほしくて飼い主さんに毎朝、挨拶をして仲良くなったほどだった。
犬が好きすぎるあまりの奇行。
ちょっとヤバイ人と思われるかもしれない。
でも、そのくらい私にとって、犬たちと触れ合う時間は大切だった。
◎ ◎
前職でボロボロだった数年前。
生きる気力がなくなってきていた。
真っ暗な空間に、ポツンとひとりぼっちでいるような毎日。
犬のことなんて、考える余裕もないほどだった。
一人で抱え込んでいたときに、たまたまSNSでしらす先輩を発見した。
最初は「わぁ、可愛い!」と思っただけだった。
画面の向こうだけれど、久しぶりに犬を見られて嬉しいという感じだった。
でも、段々とその魅力に引き込まれていった。
気づいたときには、毎回の投稿を見るのが私の楽しみになっていた。
可愛くて癒されるだけじゃない。
お笑い要素も含まれている。
しらす先輩の魅力に加えて、ママさん(飼い主さん)の絶妙なワードチョイスも素晴らしい。
ただ面白おかしくしているのではなく、文章にしらす先輩への愛もきちんと込められているのを感じる。
楽しいときもつらいときも、いつもしらす先輩に支えてもらった。
おかげで私は、暗い世界から抜け出すことができた。
◎ ◎
周りの友だちのような、芸能人のファンとは違う。
夢中になる対象は、人じゃなくてもいい。
しらす先輩の話ばかりするので、生前の祖母からは「犬の話ばかりしてないで、男連れてきなよ」なんて言われていた。
「人は裏切るけど、ワンコは裏切らないから」なんて言ってはぐらかしていたけれど、しらす先輩並みに夢中になれるパートナーと出会えたらいいなと思う。
沼っているというレベルかは分からないけれど、しらす先輩が大好き。
私はSNSアカウントを何度か作り直しているけれど、必ず一番にしらす先輩をフォローしている。
投稿にコメントできるときは、しらす先輩をよく見すぎて他の人とは違う視点の感想を打ち込んでしまうこともある。
カレンダーを販売すれば、同じくしらす先輩のファンである母の分も合わせて購入している。
しらす先輩を推すことが、私の人生の一部になっている。
しらす先輩、いつも本当にありがとうございます。
これからもずっと応援させてください!