「スマホを見せるか、見せないか。」
インスタグラムやフェイスブック、メッセンジャー、ラインなどでのやり取りを、旦那は定期的に共有すること(見せること)を強制してくる。日本語が読めないのにも関わらず翻訳機能を使ってまで、どんな会話の内容なのか、私が誰と連絡を取り合っているのかを定期的に事細かに把握しようとする。
もちろん秘密などはなく、公にできる内容だから私はそうしてもらっても全然構わないのだが。そこまで綿密にスマホを確認されるのが、時々気に触ってしまう私。1番リラックス出来るはずの我が家に居るのに、そういう時は何だか気が休まない。そう、私たち夫婦には、プライバシーの欠片もないのだ。
◎ ◎
そんなとある日の休日。いつものスマホチェックが始まるや否や、インスタグラムのストーリーのあるコメントに旦那の目が留まった。
それは何でもない、男友達との他愛もないやり取りだったのだが、彼の私に対する問い詰めが始まった。
「これは、誰なんだ?」
普段より明らかに強い口調で、旦那は私を問い詰める。
「日本に居る友達だよ。」
純粋に休日に趣味を楽しむ仲間だから、それ以上の言葉が見つからなかった。そのSNSでの会話もお互いの近況を聞き合っていただけだったから余計に。なんでその友達との関係性を探られているかも分からないくらいに、「趣味友達」以上の説明が出来なかった。
そんな言葉に詰まった私をみて、旦那は私のスマホを見続ける。その人のフェイスブックを検索して、メッセンジャーで過去のやり取りを確認して、ラインにも居ないかトーク履歴を確認する。
ここまで来ると、何だか背筋がゾッとするほど、彼のしている行動に疑問を持つのと同時に、「自分は彼に未だに信用されていないんだ…」と、悲しい気持ちにさえなる。
◎ ◎
「スマホチェック、辞めて欲しい…」
ある日、私が旦那にそう伝えたとき、彼は前向きな返事ではなかった。
「夫婦だから、何でも包み隠さず共有するのは当たり前でしょ?!」
確かに彼の言う通りではあるけれど、夫婦であってもプライバシーは欲しいものだ。そんな軽い口喧嘩を、SNSがきっかけでした。
その口喧嘩以降、毎週末のように私はスマホを共有する(見せること)はなくなった。(今では月1ペースの頻度でスマホを見せるくらい。)
ただ、その代わりと言っていいのか、お互いがお互いの写真フォルダーにいつでもアクセス出来るようにすること、位置情報を共有することを強制されるようになった。SNSも含め、スマホ一つで便利に検索・繋がれるようになった世の中だからこそ生まれた息苦しさ。
時々、そんな便利なSNSが憎たらしくなる。SNSがきっかけで喧嘩することなんてなかった、数十年前を覗いてみたいとさえ。
◎ ◎
「スマホを見せるか、見せないか」
もし、私にそんな選択肢があるのなら、「見せたくない」に尽きる。そして、私ももちろん「見せて!」なんて相手に要求しない。