30歳手前女性、転職回数2回。
新卒から約8年後、私は大きくキャリアチェンジした。
それができたのは小中学生の時に感じたワクワクを再び得たいと思ったから。

私は先月から社会に戻った。仕事の分野は、とある製品の研究開発。以前のエッセイにも記したことがあったが、それまでは医療・福祉分野での検査、品質管理に関する仕事をしていた。似ているように思えたが実際は全く異なる業務で前職、前々職の経験はほぼ活かせていないのが現状だ。まだ始めたてということと不器用のため、効率よくかつ正確に業務できないことに時に苛立つこともある。しかし諦めようとは思わず、勤務先が許す限り、トライアル&エラーを繰り返しながら新たな発見を得たいと思っている。
自分がこの仕事を選んだ理由はポジティブ/ネガティブ両面あるが、今回はポジティブな面をお伝えしたい。

◎          ◎

学生時代、私は俗に言うリケジョ(理系女子)だった。作品から筆者の思考を読み解くよりも化学反応や生体の変化などを見るのが好きで、小学校時代から追究したい気持ちが強かった。将来、研究分野で活動したいとも考えていた。しかし開発・研究職で生計を立てることはとても難しいとも思っていた。

昨今「理系離れ」の言葉をよく耳にする。このエッセイを書くために理系離れがどれほどであるかを調べた。2022年頃の中学生の全国学力テスト結果/質問紙調査より、理科と数学の「勉強は好きですか?」と「勉強は大切だと思いますか?」という旨の質問に対し両科目とも肯定的な回答が多かった一方で、「将来、理科や化学技術に関係する職業に就きたいと思いますか?」という内容の質問に対し「とても就きたい」「就きたい」と考える割合は、全体の約20%と結果が乖離した。

理科自体には興味を持っている、しかしあらゆる理由で職に就くことを希望しない学生が多いことが数字から読み取れる。以前「研究職をしていたが収入が少ない上に研究費用が高額で、周囲からの支援が得られず仕事を辞めた」というネットニュースを読んだが、もしかしたら回答した中学生の中にはこのように日本国内の支援の少なさを知っているから、研究・開発などの職を希望していない人もいるかもしれないとも思った。

◎          ◎

そのような現状でも自分が開発・研究職にキャリアチェンジしたのは、心の片隅でワクワクを求めていたからだ。

事実、福利厚生はしっかりしているものの年収は前職と比較し減ることとなる。どこかのエッセイでも書いたが、今もやや高額な医療費を毎月払っているため財布の紐を再び締めなければいけなくなる。しかし仕事を覚えていくうちに、小中学生時代の理科の実験で変化を見たときのワクワクを思い出した。

「お金では買えないものがある」という某企業のCMフレーズがあるように、0から1を生み出すことや、1から10に発展させたことへの苦労や達成感やドキドキ、ワクワク、チーム内での喜び、そして「次はどうなるのか」という追究心はお金では決して得ることのできないものだ。まだ始めて1か月程度だが、私の仕事の好きなところだと思っている。

◎          ◎

されど仕事、時に自分の意思に背かなければいけないことや苦渋の決断をしなければいけないこともある。それは今までもたくさんあった。しかし自分がこの仕事を選んだこの仕事の好きなところは、忘れずにいたい。自分のワクワクで、将来誰かに貢献できることを目標に明日も実験室に向かう……。

最後に、理科や科学技術に関心を持つ子どもたちは多い。その子たちの夢に対しワクワクと将来への支援が増え、さらなる技術発展になることを一個人として願っている。