お酒を飲むことが好きだ。毎日の晩酌は欠かせないし、休日は昼間から飲むことも多い。500mlの発泡酒を空けたら、焼酎の炭酸割り。スーパーやドラッグストアなんかで売られている、でっかいボトルで焼酎を用意しておけば、おうちで安く飲み放題である。レモン果汁を垂らすと、安物のアルコール臭さが誤魔化されて美味しく飲める。ちょっと良いものを、という気分ならワインや日本酒の栓を開ける。
そして美味しいおつまみは必須。安酒だとしても、少し手間をかけて用意する。買ってきた揚げ物を電子レンジで温めた後、グリルで炙ってカリッとさせる程度のことだけども。それだけでぐっと幸福度が増す。言うまでもなく、良いお酒なら尚更気合いが入る。ワインならクリームチーズ入りポテトサラダを作りたいし、日本酒のためにもつ煮をことことやるのだって苦ではない。こうして幸せな時間を存分に楽しんでいる。

アルコール依存症ではない、と思っている。妊娠、授乳をしていたときは飲まなかった。飲みたい欲求によく襲われたが、一線は守った。

でも、飲んで良いならいつだって飲みたい。

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話は変わるが、私はあまり長生きしたくないと思っている。子どもたちが独り立ちをするまでは頑張る。下の子が成人を迎えるとき、私は49歳。もし、大学進学をしていたらもう数年。卒業と自立を見届けたら、行きたかった日本各地といくつかの外国へ旅をする。そしてさっさと死ぬ。60歳を超えていたら、長生きしてしまったなあと思ってしまうかもしれない。
だって、上がらぬ給与、増える税金。政策は国民に優しくない。そんな国で生き続けるなんて、とんだ拷問であるからだ。
そうでなくても、老いによる心身の劣化がにじり寄ってくる。ベッドに寝たきり、自分の面倒を何も見れなくなって、何本もの管に繋がれて。そこまでして、私は生きたくない。
やりたいことをやりきったら、自分が自分であるうちに、さっさとこの世からおさらばだ。

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お酒、つまりアルコールは体に良くないとされている。肝臓に負担がかかるとか、がんのリスクが高まるとか。他にも色々、調べれば山のように飲酒のデメリットが出てくる。
つまりアルコールは早死にするからやめておきなさい、ということ。
これが私にぴったりなのだ。美味しいお酒とおつまみを楽しめば、長生きしなくて済むだなんて。なんて素敵な、緩やかな自殺。一思いに死ぬのは恐怖が勝るけれど、アルコールで身体を壊すのは毎日少しずつだから怖くない。

この思考には、長生きする前提の傲慢さが感じられると思うが、私の血筋は父方も母方も軒並み長生きなのだ。誰に似ても、私は90歳くらいまで生きてしまう可能性が高い。
そうならないよう、アルコールを摂取する。もともと食に拘りがあり、お酒を楽しむことも好きだから苦にならないどころかハッピーになる。ついでに酔って、生きる不安も朧になり見えなくなる。

太く短く生きたいの、とぼやきながら、アルコールに支えられて私の明日が来る。