仕事帰りの夜。私は夜空に左手をかざす。
鉛色のリングは何かを訴えているように見える。不安?寂しさ?悔しさ?なんとも言えない感情に苛まれながら、結婚した事実がそこにはあった。

26歳から30歳の4年間で私は大きく生活が変わった。
大好きな姉が家を出て行った。仲の良かった幼馴染が結婚し出産した。
そして私は7年付き合った彼と結婚した。
変化が多過ぎて正直実感が湧かないことも多々ある。気持ちがまだ追いついていない。受け止めきれない複雑な感情もまだここにあるようだった。

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特に29歳から30歳の変化は大きかった。
かがみよかがみにエッセイを投稿することやモデル活動は、年齢制限や結婚により、活動ができなくなった。心にぽっかり穴が空いたようだった。始めるまでは、ないことが当たり前だった。始めたらあることが当たり前になった。生活の一部になっていた。

好きでもないことだったのに、始めて好きになったらなくなったことが悲しくてしょうがなくなった。いつの間にか好きになっていた。心残りなことがたくさんあった。でも、年齢には抗えない。やりたいと願っても叶わない。私、まだかがみよかがみでエッセイも書きたいし、モデルだってしたい。できないとわかっているからこそのもどかしさがあった。

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その代わりというわけではないが、30歳で入籍し、結婚生活が始まった。結婚する前はぶつかったり納得いかなかったり、結婚生活がうまくいくとは思えない面もあった。
しかし、結婚生活は思っていたより順調に進んでいる。夫の順応力が高いおかげで、家族との仲は良くなり、不自由なく生活できている。もう少し家事を手伝ってほしい、ダイエットしてほしい等思うことはある。でも、今は生活自体に大きな不満はないため、その辺りは私が少しずつアプローチして変えていけばいいかと思っている。

出来事が変われば、感情的に変わったことも多い。

1人でいい、1人でできると思っていた。
私が我慢すればいいと思っていた。
頑張れば報われると思っていた。
周りに自分はできる人だと強がって見せた。
1匹狼のように生きてきた。
でも、それはただ自分を苦しめるだけだということに徐々に気づき始めた。気づいてもなかなか行動に移せないことはあったが、気持ちが変われば対処法が少しずつ見えてきた。無理してきた部分をセーブしたり、自分の好きなことと向き合ったり、自分を労ったり、自分を大事にすることも意識するようになった。

すると気持ちの余裕ができた。
時には誰かを頼ってもいい。間違ったっていい。甘えたっていい。かっこ悪くたってもいい。辛い時は辛いって言ってもいい。逃げられるものは時に逃げたっていい。時にズルしたって死ぬもんじゃない。
仕事が減って収入が減ったとしても、大事なのは心と体。心と体さえ健康であれば、幸せを掴むことはできる。お金は大事だけどお金が全てではない。
気持ちに余裕ができたことにより、私は視野が広がったように思う。

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仕事帰りの夜。私は夜空に左手をかざす。
今日は鉛色だったリングが銀色に輝いて見える。
同じ世界であったとしても、気持ち次第で違う世界にも見える。
キラキラと輝くリングは、私に喜びと安心感をもたらす。
失ったと思ったかがみよかがみのエッセイでは、大切な友人ができた。
終わりを告げたモデルの活動では、個別撮影の誘いを受けた。

好きだ。こうやって生活できる自分も、自分のことを忘れずにいてくれる人がいるこの世界も好き。
夫に愛されているし、夫を愛している。
全部全部ステキなこと。幸せなこと。恵まれていること。
今ある幸せを噛み締めながら、私は私の幸せを求めてまた一歩前へ進む。
大切な人の幸せを願う余裕を持って、私はこれからも経験と幸せを積み重ねていく。