「2度目はないからね」と、私は彼女に告げていた。彼女は人間関係をリセットする癖があった。過去に、TwitterもInstagramもLINEすらも消して、私の前から姿を消したことがある。彼女にとって私ってこの程度だったんだな……ってしばらく落ち込んだ。

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そんな出来事も忘れかけていた頃に、InstagramのDMに彼女が現れた。私の前から姿を消していた間の話を聞いて、彼女も大変だったんだな……なんて思い、再び連絡先を交換した。でも、私の中で前回のことをなかったことにはできていなかった。

徐々に距離感が近くなってきたタイミングで私は彼女にこう告げていた。「2度目はないからね。次、アカウント消すとか、ブロ解するとかしたら、許可しないから。そのつもりでいてね」と。彼女は「わかった。もう二度としない」と返事をくれた。

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そんな約束を忘れるほどの月日も経っていないある日、彼女はTwitterをブロ解していた。ほかのSNSのメッセージでTwitterをやめると連絡が来た。連絡が来てからしばらくして今度はInstagramのアカウントを消していた。ここまでくるとこの先の展開も読めてしまう。たぶんLINEも消えるな……と思っていたら、案の定LINEも消えていた。

彼女がSNSのアカウントをすべて消した理由は私にはわからない。きっと、彼女も私がどれほど傷ついているのかなんてわからない。話さない限り理解しあえない。でも、それを伝える連絡先を私たちはもう持っていない。だから、ごめんね。あなたに何があったのかわからないけど、よっぽどな理由があったのかもしれないけど、私はあなたとは、もう連絡先を交換しません。

共通の友達は、「いつものことじゃん」と言っている。そう、いつものことなのだ。「もう二度としない」、「反省してる」、「心配させてごめんね」と、彼女の言葉を信じて裏切られるのがいつものことなのだ。それがいつものことで済まされる関係。その、いつものことで、私はいつも通り傷ついている。何度裏切られても信じてしまう私はいつもと同じように毎回傷ついている。だから私は、あなたとはもう友達でいられません。

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人間関係をリセットしたくなる瞬間は誰にでもある。もちろん、私にだってある。でも、私はリセットされた側を経験しているから踏みとどまる。失うものが多すぎる。これまでの友情も、信頼も、楽しかった思い出も。リセットされた側は、キラキラ輝いていた思い出の時間が宝物なんかじゃなくて、一生懸命磨いただけの泥団子だったと気づいてしまう。

そして、一度リセットしたら、私は友達の言葉も笑顔も信じられなくなるだろう。リセットされた側の時、私は許しているといいながら、心の片隅では許せていない気持ちもあったから。再会の時の笑顔だって半分くらい作り物だったから。信じているといいながら、リセットされた時に「あぁ、やっぱりな」って気持ちが出てきたのだから。

大切なものは失ってから気づくとよく言うけれど、彼女は今、私との関係を大切だったと思っているのだろうか。もう二度と知る機会はないけれど、彼女の大切なものに私がなれていたなら、私たちが過ごした時間にも意味があったのかな?なんて思う。

さようなら、友達。また来ないでね、私の友達だった人。