ひさびさに食べるお菓子を開封すると、「あれ?こんなにこのお菓子って小さかったっけ?」と感じることが多々あります。いわゆるステルス値上げによって、商品の内容量が減ったためです。
あのオレンジ色の袋に入ったポテトチップスや、クッキーの組み合わせが美味のチョコレート、チョコレートがコーティングされた棒状のビスケット菓子など、私の好きなお菓子も、4年前と比べると、量を減らされて販売されています。私の気が付かないところで、価格は据え置きのまま、量が減ったお菓子は他にもたくさんあるでしょう。
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自分が子供の頃の記憶と比べ、最もサイズが小さくなったと感じるお菓子が、不二家のカントリーマアムです。インターネットで調べてみたところ、一枚あたりの重さは、30年ほどの間で11.5グラムから10.0グラムに減ったそうです。思ったより変わっていません。どうやら13%ほどしか減量してないようでした。
幼いころの私は、カントリーマアム一枚を大きなクッキーとして味わっていたのでしょう。そのぶん、大人になった私は、カントリーマアムがかなりサイズダウンしたように感じてしまっているのだと思います。
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お菓子も減量してしまう一方で、私自身も4年間で37.5%の減量となりました。なんの数値かといえば、もちろん私の体重です。
私は今、理系の大学院生として大学の研究室に所属しています。研究室への配属というのは、私に大きな変化をもたらしました。私にとって、研究室の人間関係、実験へのプレッシャーが大きなストレス源になってしまったからです。4年前、研究など考えずにただ好きな講義を大学で受けていればよかった生活が、今となっては遠い日のように思い出されます。
研究室でのストレスが原因で、私は次第にものをうまく食べられなくなりました。いわゆる摂食障害です。結果として体重は減少し、4年間で15㎏以上減りました。
テレビ番組のダイエット企画で、10kg、20kg体重減少など2桁以上の減量に成功している例をよく目にします。しかし、もともとが肥満ぎみでもなかった私の体にとって、15kgというのはなかなかの体重の減り具合です。割合にして、4年間で62.5%に変わったことになります。私の大好きな不二家のカントリーマアム1枚の重さでさえ、30年ほどの間で13%しか減量してない(ようです。)
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体重が減ったことで、できなくなったことをここに書いておくことにします。
走れなくなりました。脚の筋肉が、体重と共に失われたからです。自転車に乗れなくなりました。腕の筋肉もなくなり、自転車のハンドルの制御をすることもままならなくなったからです。荷物を持って階段を登れなくなりました。まだ少しの段差を登る筋力はかろうじてありますが、負荷を少しでもかけると、膝に痛みを感じるからです。
日中ずっと起きていることができなくなりました。体に力が入らず、何をするにも体力を消耗するため、一日のどこかで体を休めることが必要だからです。しゃがんだ状態から立ち上がることができなくなりました。筋力低下によるバランス感覚の喪失と、めまいのためです。
書き表していて、自分の体はぼろぼろになっていると自覚させられます。大学病院への定期通院も開始しましたが、いつになったら回復するのか、見通しは立っていません。自分でも情けなくなります。それでもなお、このサイトに書いて記録しておくことを決意したのは(本エッセイが採用されるか否かにかかわらず)、今のこの自分の現状をしっかり記憶しておきたいからです。
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そして、体調が無事回復して、この文章を読み返して、「自分の体は、こんなに痛みめつけられていたのだ。ばかみたい。」と、笑い飛ばせる日が来たら、そんな未来は今より笑顔にあふれているでしょう。
4年前、自分がこのような状態になっているとは想像できませんでした。だからこそ、4年後の自分が、今の自分を笑い飛ばしていることを、ほんの少しだけ期待してみようかと思います。