20代の間の約10年間。自分自身は経験していなくても、周りの知り合いや友人を含めれば、「お酒飲みすぎて、夜遅くなって、思わず、男友達・先輩とホテルに行ってしまった」という経験をした女性がいるだろう。
特にネット上で配信されるドラマには、「アルコールのせいで、何となく流れで、一夜を過ごしてしまった男女」という描写は珍しくない。ドラマの場面では、「男性がお酒に酔いすぎて気持ち悪くなっている」や「道路脇で吐いてしまった男性を、女性が介抱する」というシーンは、あまりないように思う。
私の偏見かもしれないけれど、「お酒が弱いのに、付き合いだからと頑張って飲んで、気持ち悪くなる女性」や「お酒に酔って、寝てしまった女性」の方が、登場回数が多い気がする。
実際、現実世界では、男女関係なく、お酒で酔ってしまう。女性が、お酒に酔いやすいということはないし、男性だから、お酒に強い、ということでもない。けれども、私たちはいつの間にか無意識に、「ビール1杯で頬が赤くなる女性」は、かわいらしいけれど、「ビール1杯で頬が赤くなる男性」は、男らしくない、と思ってしまう。「大して飲んでないのに、○○くん、もう顔赤くなってるの?」と笑われてしまう。
男性の気持ちを100%理解することはできないし、同じ女性であったとしても、他者の気持ちを完全に代弁することはできないけれど、男性にだって、「お酒に弱い人でいる」権利はある。女性にだって、「お酒に強い人である」権利はある。
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男女という性別と、お酒との付き合い方。知らない間に貼られてしまった「女性らしく、かわいく、飲まなければいけない」という価値観のレッテル。
私は、お酒を飲めるようになってから今に至るまで、ずっと守ってきた、私なりのお酒との付き合い方ルールが4つある。
その1:家の外で飲むときには、酔う手前までしか飲まないこと。
その2:信用できる相手と飲むときだけ、量を気にせずに飲むこと。
その3:何事もお酒を理由にしないこと。
その4:「今日は酔っぱらいたい」とやけ酒をする時は、家ですること。
ちなみに、私はお酒に強い人だ。お酒を飲みすぎて吐いたことも、気持ち悪くなったこともない。お酒は好きな人と、美味しく、楽しく飲みたい。だから、職場や同級生との複数人での飲み会には数か月~半年に1回しか参加しない。
2杯程度飲んでも、頬を赤らめずにいられるのは、お酒に強い血筋のおかげだ。大学生なら、1回くらいは、お酒を飲みすぎて終電を逃したり、吐いたり、色々なお酒武勇伝やお酒での失態を経験するのだろうけれど、私はお酒関係での嫌な思い出がない。隠したくなるような、恥ずかしい出来事もない。
お酒に強いおかげで、まだ私のアルコール摂取量の限界を知らないから、ふとした瞬間に、「つぶれるまで飲んだらどうなるのだろう」と気になってしまうことも正直ある。けれども、私は「お酒を失敗の理由にしたくない」のだ。
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恋人がいない時期に、付き合ってもいない男性と、一線を越えてしまった経験はある。ただ、それは「酔っていたから」ではない。全くのシラフの状態で、私は少しだけグレーな関係に足を踏み入れた。
「ちょっと遊びたいなぁ」という欲望に素直に従ってしまった私に、「お酒のせいで」という逃げ道を作らない、という意味でもあり、私自身が決めたことだから後悔しない、という意思表示でもある。
そんな私を、今の恋人は、「ドライ、というか、恋愛でも冷静に理性が働くよね」と付き合って間もない頃に、そう表現していた。きっと彼に「冷静」という印象を抱かせたのは、過去の経験と、お酒との付き合い方のルールのせいだろう。
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愛していない相手でも、しようと思えば、キスだって何だって出来てしまうと知った、大学生の頃の経験。「昨日酔っぱらって、先輩と泊っちゃった、やばい」と昨日と同じ服装で大学に来た同級生を見て、「私はこうなりたくない」と思った大学生の私。
私にだって、「冷静に、理性が働かない」瞬間も、もちろんある。ただ、それは、「お酒のせい」ではなく、「信頼できて、甘えることができて、素を見せることができる相手のおかげ」なのだ。