現在、アラサーの私は単身地方に来て、日本全国の地方自治体を相手に移住・定住関係の営業の仕事をしている。それまでは東京で欧米系の上司や同僚たちと人材サービスの営業をしていた。

外資系から地方の日系企業に来て、明らかに変化したのは、組織観や自分の社内でのふるまい方だと思う。

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東京では上司も同僚もイギリス人が多く、「先輩が若手の面倒を見る、育成する」といった仕事観念は一切なく、何歳であろうが上司も部下も本当に個人として対等で、役職ならまだしも、”年次”や年配・若手という関係は存在しなかった。ところが、地方企業に来ると真逆だ。若手が仕事で失敗すると、あたかも自分のミスのように負い目と責任を感じている上司を見ると、”集合体”で働いているんだなと思った。

一方、集団で働いている分、職務内外でも組織内の自分に対する期待も明確にあるのだなと感じた。例えば、会社のプライベートな集まりにも若手は率先して顔を出すことや、仕事を素直になんでも前向きに取り組むといった、いわゆる刺激や愛嬌があるスタンス・キャラが求められている気もする。なんとなく、「若手があんなに頑張ってるんだから、皆も頑張ろう」という空気作りを全体的に求められている感じがする。

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そのほか、引き続き営業職であるものの、職務内容が変化した。外資系クライアントを相手に売り切り型で無形営業するのと、地方自治体を相手に導入からリピートまで一気通貫で有形営業するのとは、求められるスキルが違う。前者は一般企業相手に個人営業のためスピード感や数が必要だったが、現在は内容が街づくりで金額や時間軸も違い、集団営業のため、しっかり関係性を築き相手の関係各位を巻き込む必要がある。

そんなこんなで、転職して変化は沢山あったものの、今の仕事で好きなところは、自分の目の前の仕事を通してダイレクトに社会貢献している実感が持てることだ。この街をなんとかしたいと思っている自治体職員の人達と一緒に、自社製品を導入してもらい、その後共通のビジョンに向かってその街の移住・定住・関係人口を増やしていく……そんな仕事だ。

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私も、やはり営業職として製品を導入してもらうこと自体も嬉しいが、導入後に他県から実際に移住した人の人数や活躍ぶり、受け入れた街の人の喜びの声などを聞いていると、自分が営業したサービスをもとに関わる人全員が良い方向に向かっている……そんな三方良しの実感を持てるのが嬉しい。このように、自分自身が自社製品を良いもの、社会に必要なものだと実体験で信じられているので、売る人としては、これを更に世の中に普及させたいと、いつもモチベーションの循環がある。こんなサービスを売れて、利用者全員の喜ぶ顔が直接みれる、長期的には街や社会に+のインパクトを残せるといった営業職は、なかなかいないのではないかという気もする。私はこの製品が好きだし、売る人(普及させる人)としての今のポジションにも満足している。