海外に行く機会があれば、誰でも心がワクワクするだろう。
「どこを観光しようかな」とか「何を食べようかな」とか、考えるだけでドキドキワクワクが止まらなくなるだろう。実際、私もそうだった。
私の場合は中学の語学研修で初めて海外に行ったが、英語を話すこと以外にも楽しみにしていたことがたくさんあった。

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「美味しいものが食べたい!」「その国の文化を知りたい!」「友達を作りたい!」などの思いを抱いて海外に行ったのも今となってはすごく懐かしい。
しかし、そんなことを楽しみにしていたその時の私には大変申し訳無いのだが、実際の語学研修はドキドキワクワクから始まるものではなかったのだ。

その当時、私は海外に行ったこともなければ飛行機に乗ったことすらなかったので、機内に乗ったあとも興奮していた。
「機内食はなんだろうか…なにか見られるのかな?」と色々なことが気になってしまい、おそらくその時の私は目がキラキラしていたように思う。

一番感動したのは、当時上映していた映画“君の名は”が機内で見ることができたことだった。大ヒットした映画で、「一回でもいいから見てみたい!」とその当時は思っていた。しかし、家の近くに映画館がなかったため見ることはできなかった。まさか飛行機の中で映画を見られるとは思いもよらなかった。

また、機内食にも驚いた。
日本から搭乗した飛行機なのに、日本食がない。全くない。何を頼んだのかは覚えてないが、味が独特で言葉にできなかったことは覚えている。一体、何を食べたのだろうか。

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と、ここまでは機内での話だが本題に戻ろう。
旅先にて私の身に一体何が起こったのか…

旅先に着いて真っ先にしなければならないことはなんだろうか。そう、入国である。
「何で来たの?どのくらい滞在するの?」といった質問に英語で答えなければならない。
このようなことを聞かれるのは前々から知っていたので、カタコトの英語で必死で話していたものの通じたようで安心していた。
…が、しかしこの後で予想外のことが起こる。

私に色々質問していた人が、別の人と交代したのだ。
私が「えっ?」と思ったのも束の間、「ちょっと来てください」と言わんばかりに私は違う部屋に連れて行かれた。

「これってもしや…テレビで見たことのある…違法の検査?」と私の頭の中はパニック状態である。これはやばい。やばすぎる。日本に送り返されるかもしれない。そう思った私はもう必死である。

しかも十数人生徒がいる中で私だけが連行された。一体なぜなんだ…

「先生助けて!」と心の中で叫んだが届くはずがなく、私は一人連れて行かれてしまった。

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もちろん、私は変なものを持っているわけでもない。最後の最後までしっかりと荷物を確認した私がその証人である。
でも、いざ突き詰められるとパニックになるのが人間というもの…私は変質者のように必死に弁明をしていた。

「変なものは持ってないよ!食べ物も何もない!危ない薬も持ってないよー!」とひたすらよく分からない英語を必死で話して説得を試みた。
しかし、相手も相手で私の必死さに引いてしまっている。

と、そこに熊さんみたいな人が救世主が登場!「君は日本人?」と英語で聞いてきた。
その人にゆっくりと簡単な英語で話をすると、「オッケーオッケー」と言ってゲートまで案内をしてくれた。

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ふぅ…と一息ついたものの、何かあればテレビのワンシーンのように私は送還されていたかもしれない。
旅の初日からそんな形だったので正直に言うと私はそれほど語学研修を楽しむことができなかった。いつか捕まるかもしれないと思っていたからだ…(捕まるようなことはしていないが…)

このようにして私の初海外は幕を開けたのであった…。