今年の1月、東京に旅行に行った。2泊3日で、そのうち1日は友人を訪ねて栃木まで行ったため、それなりに慌ただしかった。
東京で過ごした限られた時間のなかで、最も楽しく、印象に残ったスポットがあるので、今回はそこについて書いていく。
◎ ◎
その場所とは、ラブドールのショールームだ。
私が行ったところは、創業から40年以上経っている老舗のラブドール製造会社が運営していた。何年も前からずっと行きたくて、焦がれていた場所だ。
何がきっかけだったかは思い出せないけれど、確か大学生のとき、ここのホームページに辿り着いた。画面越しであっても伝わってくる、ドールたちのリアルさに圧倒された。本物の女性モデルから型をとっているシリーズもあり、それらはパッと見では本物の人間に見えた。さすが老舗なだけあり、様々なデザインのドールが載っていた。童顔の子もいれば、お姉さんっぽい雰囲気の子もいる。体型も、豊満なものもあれば子供のように華奢なものもあった。乳首の色も3種類もある。それらは注文する際に選べるようで、追加料金を払えば、アンダーヘアの量、血管メイクの有無、香りをつけるかどうか、眼球を動かす機能の有無まで選択できた。とは言っても、私には注文することは出来ない。1体数十万円するからだ。元値が高めのドールにオプションをフルでつけたりしたら、100万円を超えそうだ。私は実用できない立場であるし、さすがにそんな金額は出せない。
◎ ◎
だから時々、ホームページを訪れてドールたちをぼんやりと眺めていた。ああ、いつか生で見てみたいなあ、と思いながら。私がこの企業を知った当時、ホームページにショールームの案内はあったけれど、予約制で、無料である代わりに、購入を考えている人向けである旨が記されていた。
だが、今年東京に旅行に行くことが決まったとき、ダメ元で再びホームページを開くと、記載が変わっていた。予約が必要なくなっており、入場料が1000円に設定されて、購入予定者以外も行って良いことになっていた。本物のあの子たちに会えると考えたら、1000円なんて安すぎるくらいだ。そう思い、行くことを即決した。
当日、地図を見ながら訪れた展示室は、あまり広くはなかった。だが、そのなかにホームページで見ていた人形たちが10体ほど並んでおり、壮観だった。彼女たちはそれぞれの装いで(と言ってもほとんど何も纏っていない子も多かったけれど)、座ったり寝そべったりしていた。
◎ ◎
普段製造に関わっているというおじさんが解説してくれて、触らせてもらうこともできた。高価な彼女たちに触れるのは緊張したが、その肌はとても柔らかかった。いきなり胸に触れるのは躊躇われて、太もものあたりから触った。
また、ここ数年で開発されたという「おっぱい型ドリンクサーバー」なるものも体験させてもらえた。ラブドールの胸の部分だけの姿で、片乳を揉むと、もう片方の乳から水が出てくる、というものだ。宴会の時などに使われているらしい。自分が一揉みする度に、隣の乳から水が出てくる。ここ数年のなかで、最もテンションが上がる体験だった。
解説してくれたおじさんは2人いたのだけれど、1人は「芸術品のようなものですから。鑑賞用ですよね。『いい具合っすか?笑』みたいに使い心地を聞かれたりすると、なんだコイツって思っちゃいますね」と語っていた一方、もう1人は実用の仕方について延々と説明していた。社員にもそれぞれポリシーがあるようだった。
もし、この文章を読んでくれている方で東京旅行を考えている方がいたら、とってもオススメです。行ってみてください。