毎月のお給料からがっつり引かれている健康保険や厚生年金といった社会保険料。
以前どんな役割があるかはこちらの記事でも解説しましたが、給与明細を見ると「引かれている金額、高い!」と思っている方も多いのではないでしょうか。

額面がそのまま入ってきたらいいのにな~と思いつつも、毎月引かれてしまう社会保険料。そんな社会保険料の金額がどうやって決まるのか、お話ししていきます。

そもそも社会保険料ってなに?健康保険と厚生年金の違い

まず一般的に社会保険料と呼ばれるものには、健康保険と厚生年金が含まれます。
それぞれについて簡単に説明すると、健康保険は加入していることで病院に行ったときなどの医療費の自己負担額が3割で済むなど病気やけがになったときに活用できるもので、厚生年金は老後の年金や、重い病気やけがで生活や仕事が制限されてしまったときの障害年金などをもらうことができるというもの。
会社員であれば毎月のお給料から引かれ、個人事業主であれば自分で支払うことにより、こういった公的な保障を受けることができるのです。

それぞれの決まり方は?4~6月の平均給料に注目!

さて、そんな社会保険料ですが、どうやって決まるのかというと、基本的には1年に1回の計算で、1年分の社会保険料が決まることになります。
社会保険料の計算にあたり、まずは計算のもとになる区分「標準報酬月額」を、支給される給料から算定します。そしてその区分から、毎月引かれていく健康保険や厚生年金の金額が決まるのです。

「標準報酬月額」は、4月・5月・6月に支給されるお給料の平均額から決まります。平均額により区分が変わり、社会保険料の金額も前後するようなイメージです。
つまり、4月・5月・6月に支給されるお給料の平均額が高ければ高いほど、標準報酬月額も高くなり、社会保険料の金額も高くなるということです。4~6月に残業などで支給額が増えた人と、たとえば秋に支給額が多い人とでは、同じ年収でも引かれる社会保険料の金額が変わってくることになります。

4月支給のお給料は3月分、5月支給のお給料は4月分と前月分が翌月支払いとなる会社が多いかと思うので、そういった会社の方は3月、4月、5月の働き方によって社会保険料が変化するということ。

そして、標準報酬月額によって決まった社会保険料はその年の9月から反映されることになります。実際は9月分のお給料が10月に支払われるという方が多いと思いますので、10月に渡される給与明細を見てみると、社会保険料の金額が変わっているかもしれないということです。

ただし、1年の途中で大幅にお給料に変化があった人や転職・退職などをした人はまた違った決まり方になるので、あくまで同じ会社に勤続している人の場合です。

所得税、住民税、雇用保険。それぞれ額の決まり方は異なります

ちなみに、ほかにも毎月引かれるものとして、所得税や住民税といった税金と、雇用保険料というものもあります。

国や自治体に納める税金として、所得税は毎月の支給額によって計算され、住民税は昨年のお給料をもとに計算されます。
雇用保険は雇用されている人(個人事業主は雇用されていないので対象外!)が入る保険。

支払っていることで失業保険や育児休業給付金の制度を活用できることになり、お給料に対しての0.6%(一般事業の場合、農林業や建設業の場合は異なります!)が雇用保険料として毎月引かれます。雇用保険のパーセンテージは変わることもあれば、変わらないこともあり、直近で変更があったのが、2023年の4月にそれまで0.5%だったのが0.6%になった形です。

このように、お給料から引かれているものはそれぞれ決まり方がかなり異なっているんです。特に社会保険料の金額は毎月引かれる金額も大きくなっているので、決まり方にもしっかり目を向けてほしいところ。

稼ぎが増えるのはいいけど、引かれる金額が高くなるのも嫌だな…と思う人もいるかもしれませんが、たとえば厚生年金は今払っている金額が多ければ、将来もらえる年金も増えることになります。
また、決まり方を知っていると、自分の手取りがいつどのタイミングで変わるかがわかります。
ぜひなんとなくでもいいので覚えておいて、給与明細もチェックしてみてくださいね。