私はマッチングアプリで出会った彼と二十一才の頃から二十五歳の今まで約三年半同棲していた。彼とはアプリで知り合ってすぐに意気投合し、マッチしてから数日ですぐデートをした。初めて会う彼を見た私は、とてもベタだが『この人と結婚するかもしれない』と直感で思った。後から聞いた話だが、あのとき彼も同じように思ったそうだ。
そして私たちはそのまま付き合うようになり、トントン拍子で同棲することになった。当時姉と二人暮らししていた私が家を出て、彼の家に転がりこんだ。交際0日で同棲。周りには反対されたが、私たちはお互いになぜか分からないが何も心配事はなかった。
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そして付き合ってすぐにコロナウイルスが大流行し、私の仕事と彼の大学の授業はリモートになり、自宅で過ごす時間が格段に増えた。そのおかげもあり、私たちはゆっくり時間をかけてお互いのことを知っていき、少しずつ絆も深めていった。それから喧嘩や小さな揉め事ももちろんあったが、困ったことがあれば一番に相談し、支え合い、二人でとても濃く、幸せな時間を過ごしていった。
今年の春、彼が大学を卒業し社会人になった。その同じタイミングで、私は仕事をやめた。以前の仕事が忙しすぎて私生活が疎かになってしまったため、転職をする前にのんびりアルバイトをして暮らしていたが、その反面彼の仕事は忙しく、なれない日々を過ごしていた。
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そんな二人のあいだに気づけば溝ができてしまっていた。私たちは今までどんなことも乗り越えてきたし、こんな少しのすれ違いでダメになってしまう関係だなんて思っていなかった。しかし付き合って三年半、子供だった私たちは大人になり過ぎてしまったのかもしれない。今までの私たちなら支え合い、これからも変わらず一緒に暮らしていこうという決断に至ったかもしれない。しかし今の私たちは『一度離れ、お互い自立した生活をした上でまた出逢いたい』という意見だった。
もちろんお互い嫌いになったわけでも他に好きな人ができたわけでもない。ただ、今はそれぞれの生活をそれぞれでのペースで生きていくべきだという答えに辿り着いてしまったのだ。もちろん彼と別れることには寂しさも感じるが不思議と不安、不満はなかった。その時私は彼に対する気持ちが恋ではなく、愛なのだと気づいてしまった。付き合って三年半の記念日、私たちは別れた。
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あれから二ヶ月が経つが私たちはいまだに連絡を取り合っている。写真も消していない。少し胸が痛む時もあるが、あの時二人がした決断は正しかったのだと思う。なぜかスッキリしている自分がいる。
私は彼の家を出て、福島の実家に戻りのんびり暮らしている。彼は東京の二人で過ごしたあの部屋で変わらず忙しい日々を過ごしているそうだ。私も春には東京に戻り復職するつもりだ。また巡り合い彼と復縁することがあれば、それもまた運命だなぁと思っている。