私が誰かと別れるとき、答えはできるだけ早く出すべきだと思うようになった。

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恋の終わらせ方について、それほど多く考えたことはない。しかし、恋をすれば終わりはやってくる。自分が相手に夢中になっている間に、すでにこの恋は終わっているかもしれないのだ。20代に入ってすぐくらいの頃までは、恋のはじまりばかり考えていた。あの人と付き合えたら楽しいかな、こんな人と出逢えたら人生変わるかな、というように。別れや振った・振られたなどは二の次。とにかく好きな人とのこれからを描く妄想のほうが、頻度が高かった。

別れを考えるのは、バッドエンドな恋愛ドラマをみるときくらい。どんな理由で別れる事になったのか、どんなふうに別れを切り出していたのか、そこからアナザーストーリーを展開するくらいだ。実生活とは全く関係のない話として妄想していた。

ところが最近、考え方が変わってきた。以前は別れを考えずに過ごしていたが、別れも考えて付き合っていかなければいけないのだな、と考えるようになった。年齢を重ねるごとに、周りが結婚しはじめたからだろうか。付き合う見込みのなさそうな人、付き合ってみても好きになれなかった人、これからの将来は一緒にいないだろうと思う人。当てはまったなら、早く別れを切り出したほうが良いと思うようになったのだ。

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理由は、相手の人生を私が縛りたくないから。

私といることで、ほかの恋愛を制限してしまうことになる。私には引き止めておく必要はないので、早く解き放ってあげないと窮屈にさせてしまうと思ったのだ。まぁ、そこまで誠実な人ばかりではないけれど。誠実な人であればそれだけ、自分のなかで囲っておくのはもったいないと思う。

将来の進展がないとわかっているのに、ダラダラと関係を続けているのはもったいない。相手の人生を縛っていることになる。自分の人生も縛っていることになる。早く結論を出した分、相手が幸せになれる人を見つけるチャンスが増えるなら、そのほうが良い。

この年齢に差し掛かると、やれ結婚だ、やれ家庭だ、と耳にする機械が多くなる。自分でもアンテナを張っているため、カクテル・パーティー効果みたいになっているのだろう。出会う人をその観点で見てしまうのは仕方がない。だからこそ、早々に結論をつけていかないといけない。

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 好きが続いていて、お互い将来もなんとなく見えているうちは良い。けれど、結婚を考えたときにお互いがズレた認識を持っているのならば、検討の余地あり、という結果になるだろう。そこから冷めていくのなら、無駄に時間をかけて可能性の再燃を信じることなく、距離を離すのもありなのではないかと思う。

私は、一度熱をなくしたものに再燃することがほとんどない。一度ピリオドを打ってしまうと、不可逆的になる。それが故に、結論が変わることはないのだ。だからこそ、早めに言わなければ、と思うのかもしれない。

いくら相手に言われても、変わることはない。ピリオドを付けた瞬間に私の恋は終わっている。仕事と一緒。報連相はできるだけ早く行うこと、ささいなことでも行うこと。別れ話は、長引くことが大前提だから、自分の芯をしっかり持ち、どこまで話をそらされても必ず本線に戻すことが重要だ。

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年齢を重ねて、結婚適齢期と呼ばれる時期になったからこそ、相手の将来も自分の将来も考えた決断が必要になってくる。相手とはご縁がなかったと思い、お互いに違う道を進んでいくのがベストな方法だと考える。

一度は特別な相手だと思ったからこそ、私にとらわれず、自由に生きて行ってほしい。互いに振り返らない過去として乗り越え、その先の未来で心からの笑顔で笑っているためにも、別れはできるだけ早く告げる。これが私の恋の終わらせ方だ。今の恋に可能性がないなら、限りなく早く、できるだけ一緒にいる時間を短くしてあげることこそ、思いやりであるとも思っている。