田舎から都会に出て働き出した6年前。その当時は、休日出勤なんて当たり前、入社1年目でも最後の1人まで残ってることなんてザラだったし、終電逃して徒歩帰宅。無理な期日の仕事でも残業しまくって対応していた。いわゆる超絶仕事人間だった。

仕事が嫌いではかったから苦ではかったのだが、もちろんそんな生活は長続きなどせず、1年半ほどで身体を壊すことになる。そんな私は、休職を経て部署異動をした上で職場復帰をした。

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元々、父と兄がサッカー好きで、日本代表戦がある時にテレビで一緒に観戦していたので、サッカー観戦自体は好きだった。でも今まではほとんどテレビでしか見たことがなかったし、日本代表の試合以外は観たことがなかった。

田舎に比べて都会は、サッカースタジアムまでが近く、仕事終わりに行けてしまう。それならば行ってみたい、と最初は同僚に連れて行ってもらって、何度かサッカー観戦に行った。そこから少しずつ興味を持ち始め、Jリーグのとあるチームのファンとなり、休日に観戦に行くようになった。

そして今から4年前。ファンのチームが主催で、海外で海外チームのファンとサッカー交流をするイベントがあった。抽選で15人に絞られ、必要なものはパスポートとお土産代くらい。あちらでの滞在費は不要。

ただ4泊5日だったため、どうしても仕事を休まないといけない。上司にサラーっとこの話しをしたら、「早く応募しなよ」とすぐOKが出た。実は異動した部署は、同僚も上司もサッカー好きばかりという環境だったのだ。じゃあ応募してみよっかな、と軽い気持ちで応募してみたら、なんと当たってしまったのだ。

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サッカースパイクを買って、ボールを蹴ってみたりしたものの、決まってから1週間ほどしか時間がなかったから、あれよあれよという間に開催されたイベント。サッカーボールを蹴った経験はあったけれど、遊び程度でしかかった。それがプロの選手が普段プレイするスタジアムで、私がサッカーをしたのだ。元々運動好きだったこともあり、大興奮のイベントだった。

このイベントで更にサッカーに魅了された私は、帰国してからもサッカーを続けられないか色々調べてみた。そうすると、フットサルなら知らない人たち同士集まって、5人1チームを作り、みんなでワイワイとボールを蹴れる場所が沢山あることが分かった。人見知りだけれど、思い切って1人で参加をしてみた。これが楽しくて楽しくて仕方がなかったのだ。

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それから1年後。最初は月に1〜2回、休日の暇つぶし程度だったのが、どんどん回数が増えていき、ついに平日にまで通うようになった。その後コロナが流行り、全て自粛になった時は、1人で公園でボールを蹴る練習をするほどのハマり具合。そしてまたフットサルができるようになってからは、週に4〜5回は通った。

それまでの仕事人間の私はいずこへ。フットサルのために定時で帰る人間に変貌した。仕事時間中は、死に物狂いで仕事をして、「フットサルあるんで!」と定時のチャイムと同時に、ロッカールームでフットサルの格好に着替えて帰る。お昼休憩には、お昼ご飯そっちのけで、サッカーをしている上司たちに混じってボールを蹴る。

そして今から2年前に、県リーグの女子チームからお誘いを受けて、競技フットサルを始めることとなった。ただ楽しく蹴っていただけのフットサルとは違い、競技フットサルは、チーム戦略や動き方、覚えることが山ほどあった。

最初の半年ほどは、1番下手でチームのお荷物な自分が嫌になって、やめようかなぁと思っていた。でも少しずつ身体で覚え、公式試合に出してもらえた時の興奮や、練習試合で点を決めて、みんなが喜んでくれた瞬間・・・やめられなくなった。

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こうして生活が充実して明るくなった私は、病気を寛解させるほどまでになった。

仕事のための生活から、趣味のために仕事を頑張る生活にシフトしたら、なぜか仕事も評価してもらえて、やりたい仕事をやらしてもらう事も出来た。元々息抜きをするのが苦手な私にとって、趣味を持つことがとても大切な事だったと気付かされた。

世界が一変したこの4年間で、私の世界も一変した。