私は、いつも恋愛を後回し、あるいは優先順位を低くしていた。

中学時代、小学校入学前から気になっていた男の子がいたが、自分の容姿に強いコンプレックスを抱いていて、彼にアタックできなかった。恋愛は高校に入ってから、と諦めた。

高校時代、同じクラスになった男子生徒を好きになった。しかし、学業と進路、人間関係に大いに悩んでおり、常に追い詰められていた。恋愛は大学に入ってから、と諦めた。

大学時代、自分の行動範囲が広がり、見える世界が大きく変わった。同期や学部、サークル、バイト、たくさんの人との出会いにも恵まれた。しかし、人付き合いよりも、新しい世界に飛び込んだり、学業で挑戦したい気持ちの方が圧倒的に強かった。だから、恋愛は後回し。ちゃんとした恋愛は社会に出てから、と大学生活のどこかのタイミングで諦めた。

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そして、社会人になった今、もっと恋愛しておけばよかったと後悔している。

新卒で入社した会社で、上司のパワハラにより適応障害になった。1年目の夏には明らかに症状が出ていたのに、私は働き続けた。次第に心身共にボロボロになっていき、その年の冬に動けなくなった。3か月の休職を経て別の部署にて復職したが、上司や会社に対する恐怖を拭いきれず、すぐに退職した。今の職場では、必要以上にストレスを感じることなく過ごしているが、たまにフラッシュバックを起こしてしまう。今の上司や同僚に迷惑をかけて申し訳ない。私は社会に出てからずっと、自分の気持ちを保つことに精一杯だ。

そして、性欲がなくなった。ずっと生理が重いことに悩み婦人科に診てもらったところ、とある病気が発覚した。命に関わるものではないが、その病気が原因で生理が重いのだと分かった。

重い生理が仕事に支障を及ぼすことを恐れていた私は、女性ホルモンを抑制する薬を処方してもらった。この薬の影響で、生理で悩むことがほぼなくなった。想像以上に。なぜなら、副作用で生理が止まったから。生理がない生活があまりにも快適で、手放したくなかった私は、ずっとその処方薬を飲み続けている。

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その快適さと引き換えに、性欲は次第になくなっていった。生理を止めて2年半ほど経過した現在、ドラマや映画を観て心がときめくのは相変わらずなのに、恋愛をしたいとは、ほとんど思わなくなってしまった。

感情のコントロールで精一杯な私のメンタル。生理からの解放と引き換えに失った性欲。この2つによって、私は「誰かに恋をする」という事象の発生を止めてしまった。

元々結婚願望がなく、子どもを欲しいと思ったことがない私には都合がいいのかもしれない。しかし、かつて片思いをしていた時と同じくらい、胸が苦しい。誰かに恋をするという経験があるゆえに、恋ができなくなってしまった自分自身が情けない。なのに、誰かと心が繋がりたいと思う自分もいる。わがままな自分に、少し笑えてしまう。自分で自分の心を枯らせてしまった。

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そんな枯れた心を、私は読書や映画鑑賞、芸術鑑賞といった趣味で潤している。仕事をしている時と寝ている時以外は、何か趣味をしていないと落ち着かないのだ。

特に、読書をする時間がここ最近では増加し、ひと月で10冊以上の本を読むことが当たり前となった。物語の世界に入り込むことで、専門的な知識を深く学ぶことで、現実から逃げられる。ここまで来たら本に依存していると言っていいかもしれない。

恋愛描写のある小説を読むと、どうしてもキュンとしてしまう。まだ、「恋をしたい」という気持ちを諦められないのかもしれない。その感情を抑え込むかのように、今日も私は本の中に潜っていく。