幸せな恋愛をするためには、「私を大切にしてくれない人からは離れる」ことが重要だと何かで読んだ。
頭では、このことがとても正しいことを言っていて、幸せになる近道だということは理解できる。
しかし実際には、今自分が好きで追いかけている人が、私を大切にしてくれないとしても、私は彼のことが好きだし、いつか振り向いてくれるかもしれないと思っている。
だから、私が想い続けている限り、大切にしてくれない人から離れることはとても難しい。
私には、自分に振り向いてくれるかわからない人を思い続けていた時期があった。
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彼は仕事で付き合いのあった人で、頭の回転が速く、仕事ができるので尊敬していた。身長も高く、年齢も近い。出世頭としても一目置かれていた。
最初はただの尊敬できる先輩であったのだが、彼と仕事をするうちに気づくと彼の存在は私の中で大きくなっており、好きになるのに時間はかからなかった。
何度か二人で飲みに行くこともでき、楽しい時間を過ごした。
彼となら幸せな未来を描ける気がした。
しかし、次第に彼への想いは完全に私の一方通行だということを自覚する。
少し前から飲みに行く約束をしても前日にキャンセルになったり、そのキャンセルした後の変更後のスケジュールがいつまで経っても組まれなかったり。
キャンセルの理由は仕事が入ったせいであったり、体調不良であったり、二日酔いが治りそうにないであったりと様々であった。
しかし、キャンセルされるという事実から、私は暇つぶしの存在なのだと思って、いじけたこともある。
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夜遅くまで飲んだ時に、現地解散になりそうになったり、デートプランの提案が私からばかりだったり。
これらの行動は、大切にしている人に対してとるかと言われると答えはNoだと思う。
私が彼を好きだから、寛容になっていただけである。
その証拠に私の周りの人は、そんな男はやめておきなさいと言う。
もし仮に同性の友達にこれらの行動をされたら、次からは付き合いを考えようと思うはずである。恋は盲目とはこのことか、とハッとした。
まだ好きなまま離れることを決意するのは難しい。
だからこそ、「大切にしてくれない人からは離れる」ことが重要なのだ。
時間を空費しないために。そして、自分が幸せになれる方向に目を向けるために。
私は都合良く扱われているだけなのだと、自分に言い聞かせた。
振り向いてくれないからこそ、余計に惹かれ、抜け出せなくなっているのだろう。
彼は運命の人ではなかったのだと自分に言い聞かせ、まだ好きな気持ちには蓋をした。
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私を大切にしてくれる人に出逢いたい。
そう思い続けているのだが、今後私のことを大切にしてくれ、私もその人のことを好きになれることはあるのだろうか。
私が好きになった人を大切にするのは、もちろんだとして、相手が同じように想ってくれるかは別問題だ。
お互いを想う熱量が違うと、一方は重く感じ、もう一方は同じ熱量が返って来ないことに不満を感じる。
お互い同じ熱量で想い合える人を見つけるまで、私の結婚はおあずけなのだろう。