当サイトのエッセイで、度々「私は恋をしたことがない」と暴露している私だが、これに関しては不思議なことに明確な答えが出てしまった。私は恋をしたことがない。もとい、人を好きになったことがない。それは人を好きになる前に、心が離れてしまうからである。
マッチングアプリを使って、何人もの人とやり取りをした。結果、その誰とも付き合うことなく関係が終わる。それに対して寂しいと思ったことがないので、要は好きになれなかったということなのだが、これだけの経験を積んでわかったこと。それは、私はSNSを用いてのやり取りが苦手である、ということだ。
◎ ◎
だから少しテーマを言い換えたい。ここでは「わたしの恋の終わり方」がメインである。
初対面の人とどう関係性を築くかは人それぞれだが、大抵はまず連絡先を交換するだろう。今ではLINEかインスタが主流だ。私もマッチングアプリで知り合った人とそうしていた。そこから会話が始まり、何日かやり取りしたら電話、そして会うという段階を踏む。
チャットでやり取りをするというのは段階で言うところのレベル2だ(レベル1で連絡先を交換する)。私はそこで毎回つまずく。
◎ ◎
会話のラリーが続かないわけではない。私の返信の速度に問題がある。あまりにも遅すぎるのだ。返さないときは余裕で一ヶ月は放置してしまう。未読無視状態。個人に対してではなく、チャットそのものを放置してしまうので、一週間もすれば通知は優に50件を超える。そうして「そろそろまずいな」と思い始めてようやく一気に返信する。一度、それが原因で母から電話があった。私にLINEを送った親戚から「瀬璃から返信が無い、大丈夫なのか」と母のほうに心配の連絡が入ったらしい。音信不通で心配される成人済み女。その節は本当に申し訳なかった。
来たらすぐに返信をする、ということができない。そもそも誰かと連絡を取り合うということが苦手だ(チャットにしろ電話にしろ)。だからふとしたときに私の"恋になったであろう彼との関係性"も終わりを迎えている。そこで寂しさを覚えたなら必死こいて連絡をするのだろうが、そんな感性も無いので「あちゃー」と思って終わる。軽薄である。
◎ ◎
この先、私に好きな人ができて幸いにも彼氏になってくれたとしても、この部分だけは承知しておいて欲しいと思う。もちろん急を要する連絡なら別だ。明日何時集合だっけ?なんていう連絡には気づいた時点で返信する。そこまでろくでなしではないので安心してほしい。
が、例えばこの彼が私の反感を買って、もう別れたい、となったときには私は即座に連絡先を消去するだろう。元から好きでもないチャットをしなくて済むと思ったら、恐らく喜んで消す。
しかし、こうして簡単に連絡手段を切り捨てられるのも、スマホが普及した現代ならではなのだと思う。メールだった時代をも遡ってポケベルだった時代、もっと遡って黒電話だった時代。明日の集合時間を合わせるのさえ一苦労な時代に、私みたいな人間は総スカンを食らうだろう。恋人と別れて、泣きながら電話番号を消すヒロインに、少し憧れてしまう。