私の25年間の人生を思い返してみると、恥ずかしい失恋ばかりだ。高校時代、誰が見ても私が彼に片思いをしていることがバレバレで、告白して振られたときも、好きな人に彼女ができたことを知ったときも、まるで周囲にアピールするかのように落ち込んでいた。当時の自分としてはそのようなつもりはないのだが、周囲から自分がどう見えているかを認識する力があまりに弱かった故感情を隠すことができなかったのだ。

青春時代の可愛い思い出と片付けることもできるが、今思い出しても恥ずかしいし、高校時代の友人にそのときの話をされようものなら言い訳を並べずにはいられない。大学時代の恋愛は、別れ際から別れて数カ月は落ち込みに落ち込んで、体重が激減したり、号泣して友人に電話をかけたり、Instagramに明らかに落ち込んでいることがわかる投稿をしたこともあった。醜態を晒すとはこのことだなと思うと同時に、どれだけ自分が恋愛下手かを痛感している。

失恋を乗り越える秘策は、自分だけの世界

失恋を重ねる毎に失恋の悲しみに憑りつかれてきた私だが、感情むき出しの自分を晒し恥ずかしい思いをしたことを考慮しても失恋自体はマイナスではなかった。誇れることではないが、今では失恋からの立ち直りは得意なことのひとつだ。今、たまたまこの記事に辿り着いた人が失恋したばかりかもしれないので、今回は、ちょっぴり恋愛マスターぶって、失恋から立ち直るための方法、または失恋しても時間をかけずに立ち直るためのアドバイスを上から目線で紹介しようと思う。恋愛上手な人には無益な文章だが、恋愛に一喜一憂するのに疲れている人にはぜひ読んでもらいたい。

失恋の傷をできるだけ早く治癒させるために私がおすすめしたいのは「誰にも邪魔されない自分だけの世界を創ること」である。

何となく後すざりしてしまいそうな文言だけれど、空想の世界に自分の世界を創るとかそういったものではなくて、「この良さは私だけが理解できればいい」と思えるものを持っておくという意味である。

どうやって自分だけの世界をみつけていくか

恋をするというのは、自覚があろうとなかろうと大きな影響を相手から受けるもので、相手の影響を受けて自分も変わっていくし、相手が自分の一部のように感じることも時にはあるかもしれない。失恋の辛さを何とかしたくて「失恋 立ち直り方」と検索しまくっていた時期に、メンタリストDaigoさんが「失恋すると辛いのは、恋愛の相手が自分のアイデンティティの一部になっていて、失恋すると自分のアイデンティティの一部が欠けたようになるからだ」と話している動画を見た記憶がある。恋愛をすると相手に染まりやすい傾向のある私は特に、相手を失う辛さに耐えられなかった。けれどもその辛さの本当の意味は、自分の生活の一部であり、「彼と付き合っている自分」が私の全体像のように感じる場面もあるほど存在が大きくなっていた相手を失ってしまうことだったように思う。恋に溺れやすい人は特に、それに似た感情を持った経験があるのではないだろうか。

ただ、「自分」というものは曖昧で、自分自身が一番よくわかっていないものかもしれない。失恋したときに自分を見失ってしまいそうになるのであれば、自分がどんな人間か、他人が介入しない範囲での「私」がどんな人間なのかを自覚しておけばいい。どんなことが好きで、どんな生活を送りたいと思っているのか、1日の中でどの時間が好きなのか、仕事のストレスは具体的にどんなものなのか。こうやって、自分に矢印を向けていけば、自ずと自分の輪郭が少しずつ見えてくる。正確ではっきり見えるものでなくていいから、何となく好きだな、とか、こんな生活送ってみたいな、とか、少しずつ少しずつ自分の「好き」を明らかにしていくのだ。文字に起こすのが難しかったら、例えばInstagramの投稿で可愛いな、綺麗だな、気になるなと思ったことを保存していき、それらを見返してみると意外と系統性があったりする。自分って意外に緑色が好きなんだな、とか、こういう髪型にしてみたいと思っているんだな、とか、こういう服が好きなんだな、とか、何となく今まで感覚で選んできたものが可視化され始めたら、あとは自分の好きなものに囲まれて生活するために何をすればいいかを考えていけばいいのだ。

豊かで確かなひとりの時間は、自分を揺るぎないものにしてくれる

私の場合、家に帰ってご飯を食べながら海外ドラマを観る時間が至福の時間で、この時間を誰にも邪魔されたくない。それに気づいたのは、以前付き合っていた彼と生活のペースが合わなくなって、1人の時間が増えたときに英語の勉強も兼ねて海外ドラマを観始めたことだ。失敗もしながら、失恋して落ち込みながら、強く前に進んでいく登場人物たちに励まされ、誰も完璧な人間なんていなくて、みんな同じように悩みながら前に進んでいるんだな、と気づかされた。

それに気づいてからは、何となく最近疲れているなと感じる週末にはスーパーでビールとスナックを買って、家に帰ってからはすぐにシャワーを浴び、部屋を少し暗くして映画やドラマを観るようにしている。ほろ酔いで大好きなドラマを観て、ゆっくりと眠りにつくのが幸せで、独身のこの期間にしか味わえないと思うと全然1人で生きていけるなと感じる。

この時間は誰かにとってはショッピングかもしれないし、誰かにとってはカフェでゆっくり過ごす時間かもしれない。徹夜してアニメを1シーズン一気観することも、ジムに行って体を鍛えることも、「この時間」になり得る。そして「この時間」が、次第に「誰にも邪魔されない自分だけの世界」になっていくのだ。誰にも理解されなくていい、自分1人の世界というのは、自由で、強くて、揺るぎない。ただそれを自覚し、うまく使いこなせるかが鍵である。そうすれば誰かが離れていこうと、誰かが近づいてきてあなたの気持ちを揺さぶろうとしようと、あなたの世界があなた自身を守ってくれる。誰かと一緒にいることは幸せなことだけれども、私1人でも幸せ、むしろ他の誰にも邪魔されたくないくらい大切な世界を創ってほしい。そしてその世界のために、あなたの時間を使ってほしい。