私の居心地のいい場所。恋人の拓と話せる空間。

今年の八月下旬近く。私に恋人ができた。弟と年が近いほど若い彼だけど、心が広くて優しいのか、色々と受け入れてくれる。私の嫉妬もわがままも。

つい最近は抱き枕に嫉妬した。私と拓は遠距離でまだ会えていない。なのに抱き枕はずっと一緒にいるから。それにいいでしょーって見せてくるし、抱き枕を彼女とネタ投稿していたのを見てしまったから。その時精神状態が不安定なのもあり、嫉妬しまくった。それさえも無機物だよと困惑しながらも、「よしよし」と言ってくれた優しい人だ。いや、その前に言えなくて病んで他人に迷惑かけて説教されたけどね。

◎　　　　　　　　　　◎

わがままなんて酷いものだ。一日一回顔見たいなだとか、声聞きたいなとか、他の子に言い寄られても断ってねとか、言いまくっている。そのすべてにいいよと返してくれた優しすぎるほど優しい人だ。

それだけじゃない。彼は今、とても忙しく、人生の岐路に立っている。

浪人生で受験生でもあるのだ。

受験を控えているというのに、私の相手をしてくれている。時間を割いてくれている。これを愛と言わずなんと言おう。いや、もっと私が自重しろって話なんだけどね。電話していると見張られているみたいでサボらず済むからって言葉を真に受けて甘えている。

私は今まで愛をあまりわからず生きてきた。愛されてはいたと思う。けれど同時に失敗作だの死んだ子だの言われ、崩壊もしていた。恋愛関係はさんざんで、捨てられてばかり、壊されてばかりだったので、愛されたことなどきっとなかった。

でも拓は違う。私に愛を降り注いでくれるのだ。言葉ではあまり好きって自分から言わないし、素直じゃない。けれど、ふとした時に愛されていると実感できる。私をただの一人の存在として愛してくれているように思えるのだ。もちろん恋人としてもだけど。

◎　　　　　　　　　　◎

私の中にいる複数の子たちも受け入れてくれたんだよ。発達障害も精神病のことも。話したら、「これでも色々な人を視てきた。別に変に思わないし受け入れるよ」って。これってとんでもなくすごいことだよね。あの時はびっくりしたな。

同時に感謝した。私の中の子が本当の意味でもう一つの家族だから、私の大事な家族だから。受け入れてほしかったんだ、きっと。病気も一生の付き合いだから、知ってほしかったんだ。

そういうのもあってだろう。拓といるととても落ち着くんだ。どれぐらい落ち着くかというと睡眠薬なしでは一日の平均睡眠時間が二時間とかだった私が、彼と寝落ち通話すれば薬なしで六時間は最低寝られるようになった。長い時は一〇時間近くも寝られるようになったんだ。おかげで睡眠薬の処方がなくなった。

◎　　　　　　　　　　◎

話していると未来に向かって頑張らなきゃって気になった。職業訓練所も通いだした。可愛いって思われたくって、化粧も覚えだした。服にも気を付けるようになったし。まともにできなかった身だしなみが見られていることでできるようになってきた。人間らしい生活っていうのかな？それを送れるようになってきた。

でもそれだけじゃ物足りない。私は拓にとっても落ち着く居心地のいい場所になりたいんだ。そう、つまりは止まり木に、帰る場所に。

互いが互いのいい場所なら最高じゃない？もう逃しはしない気持ちだよね、なんて。

私の居心地がいい場所。それは私に愛を注いでくれて、人にしてくれた恋人がいる空間。私も彼にとって、いい場所になれるよう努力しなきゃね。いずれは空気になりたいな。いるかわからないけれど、なかったら死んじゃうような、そんな存在にもね。