休日の最終日。明日の学校で苦手な授業があった時。仕事がしんどいとき。夜更かしはしたくないのに、今日が続けばいいのにと思い、眠りたくない夜がある。しかし、寝なかったからといって、今日が引き延ばされる訳ではない。寝ても寝なくても同じように明日がきて、また1日が始まる。明日にならなければいいのに、という理由で夜更かしをした翌日は、日中にしんどくなって後悔するのだから早く寝ればいいのに、そう分かっていても眠りたくない夜がある。そのことを身をもって分かっているはずなのに、やめられないし繰り返してしまう。

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眠れない夜、暗い部屋で一人きり。布団の中で、訳もなく色々考えてしまう。頭の中で今日の反省会が始まり、あの時ああ言えばよかったかな、こうすればよかったかなと1日を振り返り、考えたってどうしようもないこともあるのに、やめられなくてぐるぐると考えてしまう。夜だからなのか、考え方もマイナスな方に引っ張られて、どんどん不安がわいてくる。そんなことを考えたくなくて、意味もなくスマホでSNSや動画サイトを見てしまう。どれもこれも、きっと今じゃなくてもいいものばかりなはずなのに、スクロールする手を止められない。私だって、寝る前のブルーライトはよくないとか、安眠のために寝る前のスマホは控えた方がいいとか、そんなことは分かっている。分かっているけれど、やめられない。スマホの左端に表示されている時間に気づかないふりをしながらSNSを見続ける。日付を超えたあたりから、本当にそろそろ寝ないと、と思い、少しずつ起床時間が近づいてくることに沈んだ気持ちになってくる。そして、気づくと寝落ちていて、朝になっている。

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そんなある夜。いつも聞き逃し配信で聴いているラジオ番組の放送曜日だったことを思い出し、たまにはラジオを聴いてみようかなと思い、ラジオのアプリをタップした。いつも聴き逃し配信で日中に聴いているラジオ番組。深夜ラジオをリアルタイムで聴くのは初めてだった。こんばんは、というパーソナリティの声は、普段配信で聴くのと変わらないはずなのに、暗い中一人きりのところに語りかけられているようだからか、いつものそれよりもずっと優しく感じられた。何気ない近況報告のような話から、リスナーのメールを読んだり、おすすめの曲を流したり、時には深夜ラジオらしい話題があったりして、とても聴き心地が良かった。

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夜なんだから寝ないと、とどこか焦っていた気持ちが、聴き心地の良い声や今この時間に起きていて、同じ番組を聴いている人がどこかにいることに、安心したのを覚えている。そして、気づけばいつも深夜ラジオを聴き終えることなく、眠ることができている。いつかリアルタイムで番組の始まりから終わりまで聴いてみたいという気持ちもあるが、こうやって眠れない夜にたまに聴くのもいいかなと思っている。

今日を引き延ばしたいからという理由で眠れない、眠りたくない夜があるのなら、不安いっぱいで眠るより、少しでも安心できるような、そんな夜がいい。