「やっと取れた!!!」と、私は声を上げた。念願のイタリア旅行のツアーチケットが取れたのだ。6月にかがみよかがみにて公開されたエッセイにも書いたように、飛行機の減便の影響で春の時点で「秋までのツアーはどこも飛行機の席に空きがない」と旅行代理店に言われていたのだ。
「秋以降のスケジュールは毎年だいたい11月ごろに公開される」と伝えられていたのが、今年は10月に公開されていた。私はすぐさま旅行代理店に駆け込んだ。そして、大学の春休みが始まる2月のツアーの枠を無事に確保することができたのだ。
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今回予約の取れたツアーは、ヴェネツィア、フィレンツェ、ローマに各2日ずつ滞在するものだ。午前中は添乗員さんの解説を聞きながら美術館や観光名所をまわり、午後は自由行動という流れとのことだった。私は、食べ歩きやショッピングが好きなので、自由行動の時間に「どのジェラート屋さんに行こうかな~?」「この雑貨屋さんが最寄りの駅から近いから行ってみたいな~」とワクワクしながら下調べをしている。
待ち望んでいたイタリア旅行……だったのだのだが、予約が取れてしばらくしたときにふと冷静になった。「春に見ていたときよりも、めっちゃユーロ高い……」と。私が旅行を計画していた春の時点では1€=140円だった。だが、このエッセイを執筆している10月末の時点では1€=158円になっている。
自由行動の時間に、あれを食べたい、これを買いたいと思っていたので、ユーロの価格は私にとって旅行の計画を大きく狂わす要因になる。春の時点で、秋以降のツアーの見通しが立たなかったこともあり早めにユーロに換金……なんてこともしていなかった。時期も思い通りにならなければ、予算も思い通りにならない。「これが海外に行くということなのか……」と痛感した。
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「円安だから……」と今回の旅行を見送りたい気持ちもかなりあった。でも、1週間以上国外に滞在できるような休暇を、大学卒業後にとれないかも……と思い、私は円安のなか海外旅行に行くことに決めた。幸いなことにツアーは2月。まだ、時間はある。できれば、これからユーロが安くなっていってほしい……とも思うがこればかりは自分でどうこうできない。だから私は、2月までに予定よりもオーバーしそうな差額を貯蓄していこうと思っている。
イタリア旅行から帰ってきたとき、割高だったと思うかもしれないし、失敗したって思うかもしれない。それでも、私はこのタイミングでイタリアに行く。なぜなら、私が行ってみたい国はイタリアだけじゃないからだ。
ヨーロッパの他の国にも行ってみたいと思っている。今の時点で、「次行くならフランスかな~?それともドイツかな~?スペインも捨てがたい……」と、次の行先を考えている。せっかく長期休暇が取れる大学生になったもののコロナ禍で行動が制限されていた。ようやく自由に海外に行けるようになったのだ。私は少しでも早く最初の1歩を踏み出してみたくてたまらないのだ。
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人生も思い通りにいかないことはたくさんある。思い通りになれば良い人生、思い通りにいかなければ悪い人生なのかと言われれば、それは違うと私は思う。思い通りにいかないなかでも、自分が楽しめたら良い人生だと私は思う。だから、今回のイタリア旅行も思い通りにいかないことを全力で楽しもうと思う。そして、良い旅行だったと思えるように、自分なりに工夫してみようと思う。