テレビやネットのコラムなんかでもよく取り上げられる、男女の友情は成立するのか問題。私はずっと"成立する"と思っていた。
中学ではまだまだ大人になりきれない男子達とわざと先生に怒られるような悪戯をしまくったり、高校では女友達と変わりなく恋バナをしたり将来について語り合ったり。
ましてや大学においては9割が男の子という学校に入ってしまったがために、必然的に男友達が出来た。
社会人になってからも会社の同僚や先輩と、彼氏彼女では無い関係の人たちと知り合うことは度々あったし、それなりに良好な関係を築いてきたつもりだ。
男友達だからこそできる話もあったし、女友達であるからこそしてあげられることもあった。
そうやって適度な距離感を保ちながら友達としてやってきたし、男女の友情はあるものだと思っていた。けれど最近その考えが揺らぎつつある。
◎ ◎
それは二つの出来事がきっかけだった。
一つ目は甥っ子の下半身事件。
甥っ子が産まれ嬉々としていた私はその日にあった男友達に甥っ子が産まれたのだと何の気なしに写真を見せた。産まれたばかりのへその緒をとめただけの姿。
すると友達は生まれたての赤ちゃんを初めて見たようで、甥っ子の下半身をズームにし、「産まれたてってこんな風になってるんだ〜」と、言った。
「いやいや、可愛い顔を見てよ」
そう言って顔にフォーカスを当てるも下半身にまたスライドされ凝視する。
好奇心、新発見。
綺麗な言葉でまとめるとそうなるかもしれない。
けれどその時に心の底から気持ち悪いと思ってしまい、なんだか彼が汚いもののように思え、そこから段々フェードアウトし、今では連絡すらとっていない。
しかし、後日この話を別の女友達にしていると、「私も子供産んだ時ガン見したよ〜」と、笑いながら言った。
◎ ◎
なんだろう。
この会話には1ミリも気持ち悪さを感じない。
逆に彼女が私のケータイで甥っ子の下半身を拡大した所を想像してみたけれど、「あー興味がそこだったんだ」ぐらいにしか思わないだろう。
これが性別の壁か。そう感じた1つ目の事件。
その後しばらく経ったある日、別の男友達から突然電話があった。
学生時代はいつも一緒にいて、女王様と召使、お姉ちゃんと弟のような関係でいつもふざけ合っていた。社会人になってからは連絡を取ったり取らなかったり、会ったり会わなかったり。
前回連絡を取ったのは1年前ぐらいだったかなあ。
それほどにもう遠い存在になりつつあった。
そんな子が突然電話をかけてくるものだから、慌てて連絡を返す。
夜着信があったが私が気づいたのは朝になってから。
「電話出れなくてごめんね、なにかあった?緊急事態なら今から電話取れるよ」
ざっとそんな内容で返信すると、「元気してるかなーと思って。あと酔っ払ってたんだよね」
この一言に私はゾッとした。
大学時代であれば「酔っ払って声が聞きたくてー」なんて言われれば、可愛いやつだなあぐらいにしか思わなかったし、彼に限らず酔っ払ったを口実に電話をかけてくる子たちはたくさんいた。
◎ ◎
けれど30目前にもなれば同性の友達にすら掛けないし、ましてや異性の友達なんてもってのほか。おまけに彼は既婚者。奥さんが履歴を見て変な誤解を起こしたら? 何かの拍子で喧嘩の種になってしまったら? そもそも酔っ払って誰かにかけたいなら奥さんに掛けないか?
そんな恐怖や疑問や苛立ちで困惑しながら、いい返答が思いつかず、「無事で帰れたようで何より」とだけ返した。
これが同性の友達ならば、そこからまた「それにしてもひさしぶりだね、最近何してるの?」なんてメッセージを続けたかもしれない。
けれど深夜に男性から電話→女性側から近況確認→話の流れで遊ぶなんてことになったとして、私はいいとしても奥さんの立場で考えると我慢ならない。
そんなことを考えると、今現在も続いている男友達が結婚して、何かのタイミングで遊ぶことはあるのだろうか?
女同士の「お茶しよ〜」や、学生時代よくやった「今から飲みに行こうぜ」なんてものは通用しない。別に下心なんて1ミリもなかったとしても、お互いのパートナーのことを考えると安易に動くことはできないし、そう考えると年を追うごとに面倒になりつつある人間関係が更に面倒に感じる。
この2つの出来事、相手が女の子であれば何も問題はなかったはずだろう。
そう考えると男女の友情ってそもそも存在しないのかな。なんて思ったり、
更に言うと今は性別が多様化しているから、より一層分からないよなと思ったり。
男友達のことは皆好きだけれど、この友情に未来はないのかも。
なんて思う今日この頃。