コーヒーを飲む時は、私はいつも決まってブラック一択。

幼い頃からミルクが苦手な私にとって、いつも選択肢はブラックのみだった。

そんな私が、甘いミルクコーヒーに惹かれ、一時期どハマりしたのは高校の大学受験期だった。

フル回転で疲れた頭が、カフェインと糖分を欲していたのだろう。

予備校の中休みになると、仲の良い予備校友達と下のコンビニへよく通ったものだ。

そんな受験期が終わると、甘いミルクコーヒーからはまた距離を置いた。

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大学生になると、キャンパス内にスターバックスがあったこともあり、自然とブラックコーヒーを頼むことも度々あった。

休日に友達や彼氏と出掛ければ、喫茶店でコーヒーを頼んでよく一息ついたものだ。

もちろん、ブラックコーヒーの一択だったが。

社会人になっても、1日1本はコーヒーを消費していた。

特に、真夏のブラックのアイスコーヒーが、私は1番大好きだった。

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結婚を機にアメリカに渡ると、一杯のコーヒーから私の一日がスタートするようになった。

エナジードリンクが旦那の朝食のように、コーヒーが私の朝食となったのだ。

バルコニーからビーチを見ながら啜る、ホットコーヒーが毎朝の習慣になっていった。

そんな生活を続けて1年、旅行先のスウェーデン・ストックホルムで出会ったコーヒーが、私の平凡な習慣を180度狂わせたのだった。

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早朝ストックホルムの空港に到着して、ホテルに荷物を預けると私は独り市内へ向かった。

現地集合の友達の到着がその日の夜だったこともあり、私は自由時間で街中を散策した。

コーヒーを求めて喫茶店に入ると、メニューがスウェーデン語だったためGoogle翻訳を活用してコーヒーを頼んだ。

あまりメニューにバラエティーが無かったこともあり、メニューの1番上にあった「コーヒー」とだけ表記されたドリンクと隣にあったマフィンを私はオーダーした。

その時、私は当然、ブラックコーヒーが来るのだと一人ワクワクしていた。

席に着いてコーヒーを待っていると、店員が私のテーブルに運んできたのは、ミルクコーヒーだった。

「ブラックコーヒーが良かったなぁ…」と内心ガッカリしながらも、笑顔で受け取った。

そして一口唆ると、私は衝撃を受けたのだった。

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明らかにミルクコーヒーなのに、甘くなければミルク感も全くと言っていいほどない、ザ・ブラックコーヒーだったのだ。

「ミルクコーヒーなのに、なんでこんなに濃いコーヒーなの?!?!」と、私は驚きを隠せなかった。

独特な酸味がなく、後味もスッキリしていた。

それはまさに「世界一美味しいコーヒー」だったのだ。

そのストックホルムの旅では、毎朝2杯はコーヒーを消費し続けて、お土産に地元民に勧められたコーヒー豆を爆買いしてスーツケース一杯に詰めて帰った。

家に帰ると、早速その豆でコーヒーをいただいた。

けれど、あの街で飲んだコーヒーには敵わない。

私を虜にしたストックホルムのコーヒー。

ミルクが入っていようが、ザ・ブラックなコーヒーが、私は今も恋しい。