みなさま、家族は好きですか?

この問いに、迷いなく答えられる人はどれくらいいるだろう。

では、家族は大切ですか?

おそらく、先の問いよりは答えやすいのではないだろうか。

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私は、家族はとても大切な存在です。でも、家族は好きなところもあれば嫌いなところもあります。

と答えます。

家族だからわかり合える、家族だから強い絆がある、家族だから愛し愛される、家族だから…

この「家族だから」という前提が、ときに心をひどく傷つける。

家族に言われてショックだった言葉を、もしあまりよく知らない人に言われていたら、そこまで気にならなかったかもしれない。

家族の性格で嫌いな部分が、友達のことだったら「仕方ない」とあきらめられたかもしれない。

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私事ですが、20代ももうすぐ終わろうとする最近、遅すぎる反抗期を迎え、実家から1時間弱の土地で一人暮らしを始めました。

実家を出たいと思う日が来るとは思いもしなかった。大学には片道2時間かけて実家から通ったし、職場は実家から近いという理由で選んだ。

友達と約束するときも家族の予定と照らし合わせて考えたし、家のごはんが食べたいからほとんど外食もしなかった。

家にいるのが好きで、母と出かけるのが楽しくて、弟と話すと笑いが止まらなかった。仲良しでいい家族だと思っていた。それなのに。

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私は社会人になって、心を病んだ。端的に言うと、うつ病になった。

生活の何もかもが変わった。もちろん私はとてもしんどかったが、今思うとそれをそばで見ていた家族はもっとしんどかったと思う。必死で看病してくれた母と、何も言うでもなく心配してくれた弟。

自分の考え方を変え、生きる環境を変え、徐々に元気になっていったと同時に、実家にいることが辛くなっていった。

言い合いになることが増え、何度も泣きながらけんかをした。感覚過敏の私は、家族がちょうどいいテレビの音量がうるさく、お味噌汁の味がしょっぱく、夏場のクーラーが寒かった。自分に合わせて調整すると家族は迷惑そうにし、私が我慢すると「嫌味っぽい」と言われた。いよいよストレスで食事がまともにできなくなり、「限界だ」と思った。

「家を出たい」などと言ったら、母がどれだけ悲しむかはわかっていた。それでも、生きるためには家を出るしかなかった。

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初めての一人暮らし。私は実家にいるときから家事をすすんでしていたが、それは自分の責任ではないから気楽にできるんだ、と言われていた。自分しかする人がいないなら嫌になるもんだ、と。

一人暮らしを始めて1年以上経った今のところ、家事は相変わらず好きだ。自分の好きなタイミングで、好きなように掃除をして、好きなものを作って食べられる今の生活は、これまでの人生で1番快適だ。

実家には1,2か月に1回くらいのペースで帰る。たまに食べる母のごはんはとてつもなく美味しい。出費を抑えている私には作れない家庭料理。そして帰るときには、何かしらのお土産を持たせてくれる。野菜とか、お肉とか、私が好きなおかずとか。

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実家と自分の家の距離はたったの1時間弱。隣接する市。それでも、この少しの距離がとても大切なのだと感じる。お互いに深い傷を負ったが、実家から離れてよかった。

今こうして家族のことを書いていると、私にとって家族は心から大切な存在だと、改めて思った。