幼稚園の頃からの憧れ・シンデレラ。

ディズニープリンセスの彼女は、継母たちにいじめられながらも強く生き抜き、最終的にはフェアリーゴットマザーと動物たちに助けてもらって王子様と結ばれる......。

シンデレラのように今を強く生き抜いて、いつかは王子様のような人と結ばれる人生がいいなと、幼心に思っていた。

それは大人になるにつれて、幻想だったのだと身に染みて思うようになるのである。

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私の中で「結婚=生涯の伴侶なのでよそ見をしないための契約」と思っていたのだが、お金と時間に余裕のある既婚者男性たちは、よその女にうつつを抜かすのである。
しかも、そういった男性たちは高確率で、土日は家族サービスなのか帳尻合わせなのか手料理を振る舞うと話すわけだ。

彼らに問うたことがある。
「何のために結婚したんですか?」と。

「そろそろ結婚しとかないと、社会的評価があまりよろしくないかなと思って」と口を揃えて言う。
その考えはどうやら今の時代でも......。

試しにマッチングアプリを2ヶ月間で4つ入れてみたところ、真剣に彼女を作りたいというアプリほど男性のプロフィールに書いてあるのは「そろそろ結婚を見据えたお付き合いができる相手を探しています」「周りが結婚し始めたので彼女を作ろうと思っています」といった文言。

確かに女性側は妊娠・出産のことがあるから体力面で早く結婚したほうがいいとされる。
しかし、結婚に「旦那さんの社会的評価のため」という理由が見え隠れすることに虚しさを感じるのは私だけだろうか。

そういった社会の状況を知りながらも矛盾しているが、幼心に抱いた王子様のような人が現れる日を夢見てしまう私だ。

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しかし、ふと気が付いた。
シンデレラが王子様と結ばれた後の話を知らないことを。
シンデレラがどんな人生を歩んだのか、そもそも王子様ってどんな人だったのか。
私なりに調べてみたものの、はっきりとそれらについて言及されているものが見つからず、少し落胆してしまった。

幼き日に憧れたプリンセスの姿は、表面上はキラキラとしていたのだが、本質的な姿は果たしてどうだったのだろうと疑問に思うばかり。
その表面的な部分だけを見て「結婚している女性ってキラキラしているな」と少々妬ましく思ってしまうのは、きっと幼き日に憧れたプリンセスを重ねてしまっているからだろう。

でも、婚姻関係があるからといって本質的な姿がキラキラしているかどうかはその人次第であると知る機会があった。

長年専業主婦としてお子さん3人を育てあげた母親世代のOさんとお知り合いになる機会が先日あった。

Oさんの旦那さんは実業家。

お邪魔した家は大豪邸で、正直「専業主婦だったらこれだけ豊かな生活をしながら、Oさんのように自分もきらびやかに居続けられんだろうな〜」なんて、大きな憧れと少々の嫉妬心を抱いた。

しかし、Oさんは「子どもを3人とも大学に入れたし。専業主婦もね、我慢が多いのよ......」と話す。

その言葉が妙に「蓋をしていた本心が漏れ出てきた」ような感じがして、アラサー独身の私でも胸に刺さるものがあった。

Oさんは息子さんたちが高校生になった頃、ひょんなことから自分も美容関係の仕事を始めて、自分で自由に使えるお金のありがたさを思い知ったと言う。
Oさんの輝きは自分で稼いだお金を使ってこそ、自信以外に内側からキラキラと輝く何かがあるように感じた。

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もちろん様々な事情があって専業主婦をせざるを得ない人だっていると思う。
しかし、結婚しても1人の女性として生涯を全うする使命は皆同じ。

結婚はゴールではなく、一緒になった王子様の隣にいる自分はどういう姿で居たいかを自問自答しながら追求していくための通過点でしかない。

そんなふうに強くたくましい女性になりたいなという夢ができた私は、社会的評価のために結婚するような王子様は左スワイプして、お互い切磋琢磨できるような王子様と出会える日を待ち続けながらも「いいかも」を押していく。