この間まで暑いと思っていたらすでに街にはクリスマスツリーが光る時期になっている。もう口にするのも飽き飽きするが、ついつい言ってしまう。一年って早いなぁ。今年は何をやり遂げただろうか?正月休みの時に流行っていた「今年やりたいことリスト100」を作成したことを思い出し、どこかに放っぽり出した手帳を探し出す。

毎年手帳は買うのに、どうしてか使いこなせず6月ごろを過ぎると真っ白けなのだ。そして10月ごろに次の年の分、と買い、再びまた書かなくなる。やりたいことリストもその負のルーティンの1つとなってしまった。

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さて、100個も書き連ねたやりたいことを眺めてみる。行きたい旅行先や食べたいもの、いたい物を中心に、やりたい仕事や、身につけたい習慣が列挙されている。これらのなかで達成できたのは3割にも満たないような気がして苦笑いしてしまう。

しかし、書いた通りとは言えないアプローチではありつつも、考え方によっては達成できているぞ、と思える項目が多いことに気づく。このエッセイを書き始めたことだって、その1つだ。なんだ、リストのことをすっかり忘れていても「やりたいこと」なんていうのはあんがい達成できるものらしい。わざわざ100個も捻りだし、わざわざリスト化しておく必要なんてないのかも知れない。

と、そんな舐めたことを考えてはいけない。しっかりと自分の「やりたいことリスト」を見返すと自分の達成していることは仕事や娯楽、家計のことばかりであることに気が付く。自分自身のことで達成できていることはほとんど無い。これはいけない。私の人生で一番大切なことは自分の命である。人生の資本は自分自身である。自分自身をおざなりにして仕事や娯楽をこなせるわけがないのだ。

その証拠として、今年は仕事を詰め込み1ヶ月の休みが3日間程度という状況が数ヶ月続いた結果、2週間ほどしっかりと寝込んでしまった。仕事にいくら熱を注ぎたくても自分自身が倒れてしまったら元も子もない。

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2023年も残り1ヶ月ほどに迫った。これから師走と言われる文字通り忙しい時期がやってくる。しかし、こういう時にこそ気張らず、意識的に休むことを目標にしたい。「やりたいことリスト」に書いた食習慣や運動習慣を取り入れつつ自分を大切に過ごす。当たり前のことだが、自分にはどうも難しく、仕事や予定を詰め込んでしまい電池切れで倒れてしまうので、こういった人目につくところにあえて宣言することで自分への戒めにさせていただく。

「大切なことは、目に見えない」とは有名な言葉だが、本当にその通りだと思う。寝込んだ時、大切なこと(もの)は自分自身だと気付くことができた。お金を稼ぐことや人からの評価などではなく、自分自身がまず無ければ私の人生は始まらなかったのだ。身近すぎて気付くことができなかった。だからあと1ヶ月で、自分を大切にするために模索してみることにした。そしてそれが、来年にも継続できればいいと思っている。

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なんだか深いことを言っている気がして照れくさい。しかしながらこんなに大切なことに気付かせてくれた「やりたいことリスト」へは、約750文字前で必要ないと言ってしまったことを謝罪したい。

ぜひ皆さんにも「やりたいことリスト」を作ってみてほしい。きっと何か自分の人生にとって大切なことが見えてくるはずだ。(これはやりたいことリストへの忖度の一文である)それではこの辺で、手帳を再びどこかへ放っぽり出そうと思う。