私の将来の夢は、今も昔も『かっこいいお母さん』だ。
バリバリ仕事をして、でも子供たちの面倒もよく見て、子供たちに憧れられる、かっこいいお母さんになりたい。

ご飯は手抜き、家の中はホコリだらけ。そんな母に対して失望していた

昔、母に対して失望していた時期があった。ご飯は手抜きだし、家の中はホコリだらけで散らかっていた。家の前のプランターは、時々色とりどりのパンジーが植えられてはすぐに手入れされずに枯れていった。母は常にキリキリとしていて機嫌が悪かった。余裕がなさそうで、いつ怒らせるかと毎日ひやひやしていた。

でも、親元を離れて一人暮らしをして、その後私にも新しい家族が出来て。それで気が付いた。母はいつも一人で限界まで頑張って色々とこなしていたのだと。
今ならわかる。あの頃の母は、仕事に子育てにとてんやわんやになりながら、最大限の愛情を込めて毎日を過ごしてくれていたと。
あの頃の母に、謝りたい。

誰も手入れせずに枯れていったパンジーを見て、母はどう思っていたのだろう

母のSOSに気づけず、ごめんなさい。
家族なのに、料理も、洗濯も、掃除も、ゴミ出しも、そしてパンジーの手入れまで、何一つやらずに母に押し付けて甘えてばかりだった。ごめんなさい。何もやっていないのに、心の中で文句ばかり言っていたあの頃の私に会えるなら、こう言いたい。
「家事は、母親がやることじゃない、家族がやることだ。朝も昼も夜もご飯が用意されている、汚れた服を洗濯機に入れるだけできれいになって乾いて畳まれた服が返ってくる、そんな生活を当たり前だなんて思ってはいけないよ。家の前のパンジーが枯れていくのをただ見ているのではなくて、自分で手入れしなさい。」

母はいつもキリキリしていたが、色とりどりのパンジーを植えると、いつも嬉しそうに報告してきた。
「ねえ、プランターきれいでしょ。どう?どう?」
その度に、「うん、きれいだねー。」と気のない返事をしては、ありがとうの一言もない私のことを、母はどう思っていたのだろう。そしてその後、母が手を回しきれなくなり、母以外の誰も手入れせずに枯れていったパンジーを見てどう思っていたのだろう。本当に今思い出しても申し訳なくて仕方がない。

ずっと働いていた母のおかげで、私は何一つ不自由なく大学院までいかせてもらっている

母は、私の学費や生活費を貯めるためにずっと働いていた。
仕事をしながら、4人分の家事を一人で全部、完璧にこなすなんて無理な話だ。それでも毎日、朝起きたら紅茶とトースト、そしてお弁当を用意してくれていて、洗濯にゴミ出しに、全部こなしていた。夜帰ると鍋で炊いた美味しいごはんとおかずを用意してくれていた。母は、かっこいいと思う。
あの頃の母のおかげで私は何一つ不自由なく、大学、そして大学院まで行かせてもらっている。母の助けがなかったら、間違いなく今の私はいない。本当に感謝している。

今、母に会うといつもニコニコとして私の話をなんでも聞いてくれる。家もいつ行ってもきれいに掃除されている。母の家に泊まると、毎回旅館の朝食かと思うくらいの品数のご飯を用意してくれる。あの頃の母がウソのようだ。

きっと返しても返しきれないけど、ちゃんとお礼を伝えて、最大限に恩返ししたい。
お母さん、ごめんね。そして、ありがとう。