「そういえば、これ、いつから使ってるんだっけ……?」。
そう思いながらも、「まぁいっか!まだ使えるし!」と言い、いつから使っているか不明の下着を身に着ける。毎度、「まぁいっか!」と言っているが、心の片隅で「いつかは買い替えなきゃいけないよな〜」とも思っている。
「……正直に教えてほしいんですけど、下着ってどのくらいで買い替えるのが正解なんですか……?」と、心の中で全世界の女性たちに問いかけている。とはいえ、なんとなく人には聞きにくい。「そういう時のためのGoogle先生!」と思い、検索してみた。
「100回……!?」と、思わず声が出ていた。サイトによって多少の誤差はあるものの、少ないと50回、多くても100回洗濯したら、買い替え時という内容が多かった。
少し恥ずかしいが正直に言うと、「……多分、私の下着たちはどれも200回以上洗濯されていると思う」。別にサイズも変わってないし、伸びて使えないということもない。なんなら、「あと、100回くらい洗濯しても使えるでしょ!」って思っていた。
そんな私にとって100回という数字は衝撃だった。
◎ ◎
今まで、見ないふりをしてきたが、買い替え目安の2倍もの期間使い続けているという現実が見えてきた。だが、私は「よそはよそ、うちはうち」と再び現実から目を背けようとしていた。私の中では、まだ使えると思っているものを買い替えるのは、なんとなくもったいない気がしていたからだ。
我が家にある4セットの下着は、すべて同じタイミングで買ったもの。同じくらいの頻度で使っていたから、すべてが洗濯回数200回越えのレジェンド下着。買い替えるとなると、1度に4セット分の出費が……と思うと、検索結果を見なかったことにしたくなった。
もったいないと思うのにはもうひとつ理由があった。服の下に身に着けている下着の洗濯回数なんて、自分にしかわからない。新品の下着だろうが、200回洗濯したレジェンド下着だろうが、服を着てしまえば他人に気づかれることはない。
あとは、自分がそれを気にするか気にしないかの問題だと思う。私はもちろん気にしないタイプだ。「気にならないなら買い替えなくてもいいか……」と思い、私はブラウザをそっと閉じた。
◎ ◎
その日の晩、洗濯カゴに下着を入れようとした時に、ふとショーツのレースが目に入った。「あれ?ちょっと糸がほつれてない?」と、自分の下着の傷みに気づいたのだ。穴が開いているわけではない。少しレースの端の糸がピロピロっと出てきているだけだ。
普段の私なら、「糸を切ったらまだ使える!」と思っていただろう。だが、そう言って、買い替えなかったら、私は、400回洗濯するまでこの下着を買い替えないだろう。いや、私なら、400回洗濯した後も「まだ使える!」と言い張りそうだ。
糸のほつれた下着を片手に、「いつ買い替えるの?……今でしょ!」と、私の脳内で某CMのパロディーが再生された。
3~4着の下着をローテーションして着用している場合は、約1年使うと洗濯回数が100回前後になり買い替え時だそうだ。洗濯のたびに、「この下着は〇〇回目の洗濯」と数えるのは面倒なので、これからは1年に1回買い替える習慣を作っていこうと思う。
とはいえ、「何月何日になったから買い替えよう!」なんて覚えておけない。今身に着けている下着たちも、何月に買ったかなんて覚えていない。だから私は、「新年を新しい下着で迎える」というマイルールを作ることにした。
私はこの冬、200回の洗濯に耐え抜いたレジェンド下着たちに感謝を告げ、新しい下着をお迎えしようと思う。