子供の頃は何も悩みがなくて毎日が楽しかった。自由な発想や柔軟な考え方が今よりも出来ていたような気がする。
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しかし大人になった今、社会的な責任やこれからの人生について不安や悩みがどんどんと込み上げてきて重荷になっている。この世は甘くない。元々お金のある家だったらこんな悩み事も無かったのかもしれない。いわゆる人生の勝ち組が憎くて堪らなかった。
身動きが取れない感じがすごく窮屈で居心地が悪い。自由に生きたい。好きな事を仕事にしたい。自分らしく生きたい。お金に囚われたくない。ポジティブな人でありたい。心優しい人間でありたい。慕われたい。ユーモアのある人でありたい。
厳しい現実を突きつけられながらもこんな理想を描いているが、まだ一つも達成できていない。一つでもいいから達成したい。恐らく多くの大人がそんな事を思っているに違いない。
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中高生の私はコンプレックスの塊だった。
容姿は悪いし、根暗だった。猫背で自信がないのが全面にでていた。
特に屈辱的だったのは中学生の時、後の某大学のミスコンに出た同級生からブスと言われた事だ。高校生の時にはすれ違いざまにこの高校もレベル落ちたなぁと言われる始末。
学生の頃はせめて勉強だけは頑張ろうと思い、机と向き合った。そして念願の希望校に入学することが出来たがそれでもやはり悔しさは拭えず、変わることを決意した。
高校を卒業して2、3年。メイクも覚え、10キロ近くの減量に成功した。少しは変われた気がする。外見を褒めてくれる人も現れてファッションやメイクを楽しめるようになった。明らかに前よりも丁寧な扱いをされていると分かる。この世界にはルッキズムという言葉が存在するように外見から得られる情報は自分が思っていた以上に大きい物なんだと実感したと同時に、少し複雑な気持ちになった。
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20代で適応障害と診断された。おそらく転職活動が原因だと思う。前の仕事が嫌だった訳ではないが、このまま続けていても自分が成長出来ないと思ったから。もっと長所を活かせるような仕事に就きたいと思った。成長したいという向上心はあるのにいざ行動するとストレスが身体症状として現れる。これまでもそうだった。高校卒業後は看護師になるという目標を掲げて看護学校に入学したが、結局不安障害で退学する事となった。
今まで楽しかったメイクや買い物が全然楽しくなくなった。
外出する事もトイレに行く事も風呂に入る事も今までは苦では無かったのに、身体が動かない。
いつになったら社会復帰できるのか。収入がない事に不安を感じるようになり、このまま社会から分断されてしまうのではないかという焦りが込み上げてくる。
適応障害と診断されてから半年近くが経ち、徐々に回復に向かっている。様々な葛藤やコンプレックスはあるが、いつかそんな面も含めて自分を愛せる人間になりたいと願っている。